さんきゅー農場日記

服従

5月 6th, 2017

中道無所属のマクロン氏と極右政党・国民戦線ル・ペン氏との決選投票が注目を集めているフランス大統領選挙ですが、ミシェル・ウエルベックの小説「服従」では、極右・国民戦線のル・ペン氏と、穏健イスラーム政党の党首が決戦に挑みます。

フランスでは、これまで中道右派(現共和党)と中道左派(現社会党)の二大政党が政権を分かち合ってきましたが、2022年の大統領選で第一回の投票が極右・国民戦線が34%で断トツのトップになり、イスラーム同胞党が2位、僅差で社会党が3位となってしまいます。
有権者は、ファシストかイスラムかの究極の選択を迫られるわけですが、ファシストよりはマシだろうという事で、決選投票でイスラーム同胞党が1位となりイスラム政権が誕生します。

この小説は、2015年のシャルリー・エブド襲撃事件の当日に発売され、フランスで大ベストセラーになりました。IS問題やポピュリズム旋風が吹き荒れるヨーロッパで、かなりの人が関心をもって読まれたようです。

伝統的な既存政党は右派も左派も、経済的・社会的な問題に十分に対応してきませんでした。既存のエスタブリッシュメント(エリート)への不満がポピュリズム政党に流れています。ポピュリズムとは、理性的に判断する知的な市民よりも、情緒や感情によって態度を決める大衆を重視し、大衆の権利を主張するものです。
現実の大統領選でも決選投票に進んだ候補者2人のいずれもが、フランスの伝統ある既成政党の出身ではなかったのは、現代フランス史上初めてのこと。この小説を、単なるフィクションとは片付けられないように思います。

ポピュリズム政党の極端なメッセージは、現状に不満を持っている人たちに心地よく響きます。かならずしも中道右派を支持していた人が極右ということではなく、左派から極右に走る事も多いようですが、根底にあるのは既存の社会システムを壊してくれるという統一した期待にあるのではないかと思います。日本ポピュリズムといえば小泉純一郎氏や橋下徹氏ですが、その主張よりも世の中をぶっ壊してくれるとうい事への期待がほとんどだったのではないでしょうか。アメリカのトランプも然りです。

多くの人が支持する政党が政権を担う政治システムが民主主義であるならば、ポピュリズムが台頭する事は正しい事なのでしょうか。

先日、ヒトラーの死から70年が立ち「わが闘争」の著作権切れにより誰でも出版できるようになることを危惧するドイツのドキュメンタリーが放映されました。わが闘争で書かれている外国人を攻撃する徹底した国粋主義が、移民問題で悩むヨーロッパで再評価されているとのこと。複雑な問題をより単純化することで、極右ポピュリズム勢力の共感も得ているようです。ネット上の中国、韓国、北朝鮮への汚い言葉の投稿をみると、日本も人ごとではないように思います。

ポピュリズム政党は世界を敵と味方で線引きをし二項対立をつくることで分かりやすさを作り上げてきました。SNSはそのことを助長しているように思えます。元ネタをうまく加工して相手を揶揄するような投稿が多く、そこにはオリジナリティは感じられません。ですからSNSに流れている右の論調も左の論調もあまり好きにはなれません。分かりやすさにごまかされず、もっと深いところで議論する必要があるのではないでしょうか。

フランスの思想家トクヴィルは、「アメリカのデモクラシー」の中で、当時、評価が高かったアメリカの民主主義について「世論による専制政治」や「多数派による暴政」へと変貌を遂げる可能性について書かれています。そうした変貌への歯止めとして”宗教”がバランサーになることが言及されています。トクヴィルは19世紀前半の思想家なのですが、現在、宗教がバランサーとなり得るかどうか、疑問を感じないわけにはいきません。

ネットには情報が溢れ、宗教がバランサーとなりえない現在では、より一層ひとりひとりの「考える力」が重要となってきたと思います。分かりやすさに流されずに自分自身の考えを持つっことが必要となります。

小説「服従」のタイトルですが、主人公は大学教授で最初はイスラム政権に抵抗していますが、やがて現体制のあるがままを受け入れる姿(服従)を描いています。インテリは弱い存在で、知識や教養がいかに脆いかということが描かれています。

今の世の中、自分自身を維持していくことはとても難しいのかもしれません。
しかし、どんな時でも時流に流されず、自分の考えを持つ努力をしていくこと。いま、ぼくらに課せられた役割のように思います。

子どもの権利条約フォーラム2017in信州

4月 25th, 2017

子どもの権利条約フォーラム2017in信州。
12月の開催に向けスタートしました。

子どもの権利条約フォーラムは、国連の子どもの権利条約を日本が批准したことを受け、1993年より毎年各地で開催されています。去年は関西(大阪)、その前は石巻、そして今年は長野県の茅野市で開催されます。

子どもの権利条約とは、第3条の子どもの最善の利益を考えることは地域の役割であるという本旨のもと、子どもを一人の人格者として権利を守っていかなければならないというもので、大きく分けて、①生きる権利②守られる権利③育つ権利④参加する権利の4つが柱となっています。
参加する権利とは、大人たちが勝手に決めるのではなく、子どもの意見も取り入れたまちづくりをしていこうよ。というもので、「大人と子どものパートナーシップ」、今はやりの言葉です。

「最善の利益」というのもよくよく考えると難しい。例えば、子どもたちを学校に行かせることは社会的に見ると「最善の利益」ですが、一人一人をみると決してそうではない場合があります。子どもの施策を考える場合、この「最善の利益」とは何かを深く掘り下げ、表面的で画一的ではない方法を選択していく必要があるのではないでしょうか。

この子どもの権利条約。批准されて25年もたつのになかなか普及されていません。
なぜかというと、「子どもに権利なんかを渡すと”わがまま”になる」という考えが普及しているからです。個人の権利を尊重するということは他人の権利も尊重するということですから、決して”わがまま”ということにはなりません。欧米では当たり前の考えですが、日本では権利と”わがまま”が同意語として考えられる傾向があります。もう少し「権利」について、子どもの頃から学習する必要がありますね。

もう一つ、子どもの権利条約は途上国の子どものためにあり、先進国である日本には関係のないという考え。
子どもの権利条約は、ナチス占領下のポーランドで、多くのユダヤ人の子どもが亡くなったことに起因しています。子どもたちとともにホロコーストの犠牲になったコルチャック先生の「子どもの死についての権利」「子どもの今日という日についての権利」「子どものあるがままである権利」という3つの思想を強く受け、子どもの権利条約は国連で採択されました。

これまで、あまり普及に積極的ではなかった政府ですが、去年、児童福祉法が改正され第1条が「全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する」となりました。

児童福祉法は、子どもの福祉を考える上での基本原則ですが、その理念として「子どもの権利条約」を掲げたわけです。子どもの貧困がフォーカスを浴び、各地で子ども食堂が開催される中、子どものことを考える場合の指針として、もう一度読み返す必要があるのではないでしょうか。

さて、このフォーラムは春先、実行委員会を立ち上げ、権利条約のことや子ども現状・課題など、みんなで勉強しながら、県内各地の子ども・子育て支援をしている個人やNPO・市民団体とネットワークをつくり、フォーラムをつくり上げていくことを特徴としています。
この日は、42名が実行委員会に登録してくれました。

特に毎回参加していただかなければいけないということはありません。
自分のできる範囲で参加してください。
実行委員会は随時募集しています。
ぜひ、多くの参加お待ちしております。

お問い合わせはこちら kodomonokenri.shinshuu@gmail.com
FBページはこちら   こどもの権利条約フォーラムin信州
           いいね!してくださいね。

「富士見町境地区におけるメガソーラー発電設備設置についての意見書」提出

4月 21st, 2017


*4月21日信濃毎日新聞

境メガソーラーを考える有志の会で富士見町と県諏訪地域振興局に「富士見町境地区におけるメガソーラー発電設備設置についての意見書(都留文科大学特任教授内山恵美子先生)」を提出してきました。

町長には、渡すときだけいてくれればいいよと伝えたのですが、どうしても説明が聞きたいとのことでしたので、一時間かけてしっかり説明をさせていただきました。もちろん、ぼくが説明したわけではありません。水理地質学はとても難しく、不圧層や被圧層、ダルシーの法則など、なんとなくはイメージできるけれど、説明まではできません。会のメンバーの詳しい人が説明してくれました。

町長は、それまで企業側の説明を信じていたのですが、メンバーの説明に納得。建設予定地は涵養域だということを認めました。新聞記事では「町の資料として生かしたい」と控えめなコメントとなっていますが、実際はもっと、湧水の上の溶岩地帯を守っていく!と、力強い発言でしたよ。これまでだって、何回も説明してきたんですけどね。

企業側の説明は、素人からみても矛盾が多いのですが、もっともらしく説明されると、そんなもんかな。と思ってしまうものです。計画が中止になって、冷静に聞いてみて、おかしなところがいろいろ見えてきたようです。

意見書の説明は難しいので、意見書の結論をそのまま書き出しておきます。

 5,結論

 以上、申し述べたように、大泉・小泉は主に大滝社溶岩・葛窪溶岩に浸透し流動している地下水が湧出しているものと考えられます。葛窪溶岩に上に堆積している佐久ローム層も透水性が良好ですので、その表面を除去し設備を建設することは、湧水量の減少を引き起こすことが懸念されます。また、減少した浸透量の分は切掛沢へ放流されるため切掛沢の流況が変化し、豪雨時の土砂災害の危険性も高まることも心配されます。
 水環境にまつわる時間サイクル、特に降水浸透から湧水までは時間がかかるため、水質や水量にトラブルが生じるとその修復には膨大な時間と経費が必要となります。火山山麓の湧水は日本が世界に誇れる貴重資源ですから、科学的な裏付けのもとに地下水流動を把握しての保全管理が必要です。地下水流動経路に関わる開発計画には慎重に期するべきと考えます。

企業側のおかしな説明は、以前のゴルフ場開発のときの環境アセスの評価書によるもので、これまでこの地域の水象の基本となるものでした。それを覆す資料が町に保存されるということは、かなり価値のあることだと思います。

内山先生の意見書にも書かれているように「火山山麓の湧水は日本が世界に誇れる貴重資源です」。水の惑星と言われている地球ですが、淡水は2,7%しかありません。水資源は次世代に引き継ぐべき貴重な財産です。この湧水は守っていくことが大事なことだと思います。太陽光パネルは太陽があれば、どこでも発電するのですから。。。

さて、これで2年間近くにわたる「境メガソーラーを考える有志の会」の活動は終了とさせていただきます。
これまで、ご支援、ご声援ありがとうございました。

大泉・小泉湧水の地下水のこと

4月 20th, 2017


*4月9日信濃毎日新聞

ちょっと前の話ですが、「境メガソーラーを考える有志の会」で八ヶ岳山麓の地下水についての勉強会を開催しましした。
境メガソーラー建設計画は止まりましたが、この場所が大泉・小泉湧水へ影響があるということは証明されたわけではないため、専門家に建設予定地にメガソーラーが建設された場合のことを検討し意見書の作成を依頼しました。この日は意見書の内容を説明していただく勉強会。専門的なことにも関わらず、以外と多くの方が参加してくれました。
講師は都留文科大学特任教授の内山美恵子先生です。専門は水理地質学。
水理地質学とは、地下水がどのように流れているかを研究する学問で、水文地質学とも言います。地下水に関しては、地質学より専門的な学問です。

内山先生の話は、地下水の流れの基礎から丁寧に教えていただきました。
新しい地層ですと隙間も多く水も早く流れますが、古い地層ですと空隙率も小さくなり抵抗も増えるため、水はゆっくり流れます。早いものですと数10年で雨が流れ、古いものですと1000年オーダー。こうした古い層の地下水が汚染される、と浄化するのに長い年月を必要とのことです。このことはしっかり頭に入れておいたほうが良さそうです。


* 内山先生資料

南八ヶ岳は、年代によっていくつかの溶岩がありました。

約40万年前〜 赤岳・阿弥陀岳付近の活動
       主に両輝石安山岩溶岩

約25万年前〜 古阿弥陀岳の山体崩壊(韮崎岩屑なだれ)

約20万年前〜 権現岳・御小屋山付近の活動
       主に両輝石安山岩溶岩

約18万年前〜 三ツ頭・立場川上流・硫黄岳付近の活動
       主にカンラン石角閃石両輝石安山岩溶岩

レノバ社の報告書によると、池袋(いけのふくろ)から上は葛窪溶岩、一回の溶岩の流れによる一つの溶岩層でできているということになっていますが、過去のボーリング調査を検討したところ、やはり、いくつかの層に分かれていたようです。

・富士見町境地区周辺の溶岩

観音平溶岩類:両輝石安山岩
大滝社溶岩 :カンラン石角閃石両輝石安山岩
池袋溶岩  :石角閃石両輝石安山岩
靴窪溶岩  :石角閃石両輝石安山岩
広原溶岩類 :カンラン石角閃石安山岩

この他、水温などの調査により、大泉・小泉湧水の涵養域は、鼻戸屋を起源とする葛窪溶岩と池袋溶岩地帯を流れ下る地下水とその地域に降った雨であるとの結論となりました。

これは、これまで開発側が説明してきた大泉・小泉湧水の水は西側、切掛沢を越えた小六方面から流れてくるという考えを覆すものです。
内山先生の意見では、建設予定地にメガソーラーを建設すると湧水への影響があるとしています。

内山先生は、すべて開発側が使った資料をもとに検討したのですが、なぜか結論が違います。終わった後にそのことを尋ねると、同じデータを見ても、そこには人間の解釈が必要になる」とのことでした。
しっかりした調査を行っても、それぞれの思いがある程度反映してしまうということでしょう。

だとすると、環境アセスを事業者が行う現在の方法は問題があるのではないでしょうか。「環境アセスを行ったから大丈夫」ということにはならないと思います。行政は、環境アセスが終わったからといって鵜呑みにせず、林地開発の許可申請や環境保全条例など、その都度しっかり精査しなければいけないと思います。

この意見書ですが、今後のため、本日富士見町と長野県諏訪地域振興局に提出してきます。
今回のことで大泉・小泉湧水の周りは、四回開発を止めたことになります。
これ以上、開発計画が持ち上がらないことを願います。

八ヶ岳山麓の水理地質の勉強会

4月 5th, 2017

八ヶ岳山麓の水理地質の勉強会を開催します。

境メガソーラー建設計画は地域住民の反対によって中止となりましたが、計画地が水源涵養林であることが認められたわけではありません。これで4回も開発を止めたのにもかかわらず、未だに計画地が地域住民の生活に大きな影響を与えることが証明されていないのです。過去にゴルフ場増設計画の裁判も、7年もかかったことでゴルフ場は儲からないことがわかり開発側が撤退したのすぎません。

そこで、今後のためにも都留文化大学の特任教授の内山美恵子先生に、水理地質学の視点から「富士見町境地区におけるメガソーラー発電設備設置についての意見書」を作成していただきました。
つきましては、内山先生に意見書の内容をもとに、八ヶ岳山麓の地下水についての勉強会を開催します。

次世代に残すべき自然とは何か、みなさんと考えることができたらと思っています。
ぜひ、多くの方の参加をお待ちしております。