Archive for the ‘境メガソーラー計画’ Category

なぜ、境メガソーラーが止まったか

日曜日, 8月 6th, 2017

たあくらたあvol42に寄稿しました。
富士見町の境メガソーラーが、なぜ止めることができたのか書いてくれと頼まれたからです。

境メガソーラーの建設予定地は、生活水として利用している湧水が近くにあるため、これまでなんども開発の話があり住民の力で止めてきました。そういった背景があったので止まるべくして止まったといえるでしょう。ですから、他の地域で参考になるようなことはあまりありません。それでもこれまで住民がしっかりと自分たちの意思を示し、生活を守ってきたということは参考にすべきことだと思います。

いまの日本では自分自身の思いや意見を主張することは、わがままや自分勝手とみなされる傾向にあります。ですから、何かに反対するなんてネガティブな行動は嫌厭される傾向にあります。話し合う前から”代替案”を出すべきなどと言ってくる人もいます。
なぜ、企業が営利目的で開発しようとしていることに、こちらから代替案を出す必要があるのでしょう。妙に物分かりの良い、大人ぶっている人たちの意見は、無責任でしかないように思います。


*8月5日長野日報

先日、茅野市北大塩区の人たちが、霧ヶ峰に計画されている四賀ソーラーについての説明会の要望や、反対署名を集めるとの記事が掲載されました。四賀ソーラーができることで、土砂災害や湧水への影響が考えられる米沢・北大塩地区の人たちにとっては死活問題です。

こんな時行政は、みなさんが思っているほど力はありません。
民間が行う開発行為に対して、必要以上に干渉すると自治体が訴えられる恐れがあるためです。人任せではなく、自分の意思を伝えていく必要がある必要があるとお思います。

戦後、日本では政治はお任せで、経済振興中心で進んできました。
そのツケがまわってきたのか、今、憲法や安保、市民の意思を明確にしなければいけない場面が増えてきたように思います。民主主義が試されている状況にあると言えます。

自治とは、自らが治めることをいいます。
自分たちの生活を守るためには、臆することなく自分たちの意見を表明すること。
それ以外に方法はないと思います。

「富士見町境地区におけるメガソーラー発電設備設置についての意見書」提出

金曜日, 4月 21st, 2017


*4月21日信濃毎日新聞

境メガソーラーを考える有志の会で富士見町と県諏訪地域振興局に「富士見町境地区におけるメガソーラー発電設備設置についての意見書(都留文科大学特任教授内山恵美子先生)」を提出してきました。

町長には、渡すときだけいてくれればいいよと伝えたのですが、どうしても説明が聞きたいとのことでしたので、一時間かけてしっかり説明をさせていただきました。もちろん、ぼくが説明したわけではありません。水理地質学はとても難しく、不圧層や被圧層、ダルシーの法則など、なんとなくはイメージできるけれど、説明まではできません。会のメンバーの詳しい人が説明してくれました。

町長は、それまで企業側の説明を信じていたのですが、メンバーの説明に納得。建設予定地は涵養域だということを認めました。新聞記事では「町の資料として生かしたい」と控えめなコメントとなっていますが、実際はもっと、湧水の上の溶岩地帯を守っていく!と、力強い発言でしたよ。これまでだって、何回も説明してきたんですけどね。

企業側の説明は、素人からみても矛盾が多いのですが、もっともらしく説明されると、そんなもんかな。と思ってしまうものです。計画が中止になって、冷静に聞いてみて、おかしなところがいろいろ見えてきたようです。

意見書の説明は難しいので、意見書の結論をそのまま書き出しておきます。

 5,結論

 以上、申し述べたように、大泉・小泉は主に大滝社溶岩・葛窪溶岩に浸透し流動している地下水が湧出しているものと考えられます。葛窪溶岩に上に堆積している佐久ローム層も透水性が良好ですので、その表面を除去し設備を建設することは、湧水量の減少を引き起こすことが懸念されます。また、減少した浸透量の分は切掛沢へ放流されるため切掛沢の流況が変化し、豪雨時の土砂災害の危険性も高まることも心配されます。
 水環境にまつわる時間サイクル、特に降水浸透から湧水までは時間がかかるため、水質や水量にトラブルが生じるとその修復には膨大な時間と経費が必要となります。火山山麓の湧水は日本が世界に誇れる貴重資源ですから、科学的な裏付けのもとに地下水流動を把握しての保全管理が必要です。地下水流動経路に関わる開発計画には慎重に期するべきと考えます。

企業側のおかしな説明は、以前のゴルフ場開発のときの環境アセスの評価書によるもので、これまでこの地域の水象の基本となるものでした。それを覆す資料が町に保存されるということは、かなり価値のあることだと思います。

内山先生の意見書にも書かれているように「火山山麓の湧水は日本が世界に誇れる貴重資源です」。水の惑星と言われている地球ですが、淡水は2,7%しかありません。水資源は次世代に引き継ぐべき貴重な財産です。この湧水は守っていくことが大事なことだと思います。太陽光パネルは太陽があれば、どこでも発電するのですから。。。

さて、これで2年間近くにわたる「境メガソーラーを考える有志の会」の活動は終了とさせていただきます。
これまで、ご支援、ご声援ありがとうございました。

大泉・小泉湧水の地下水のこと

木曜日, 4月 20th, 2017


*4月9日信濃毎日新聞

ちょっと前の話ですが、「境メガソーラーを考える有志の会」で八ヶ岳山麓の地下水についての勉強会を開催しましした。
境メガソーラー建設計画は止まりましたが、この場所が大泉・小泉湧水へ影響があるということは証明されたわけではないため、専門家に建設予定地にメガソーラーが建設された場合のことを検討し意見書の作成を依頼しました。この日は意見書の内容を説明していただく勉強会。専門的なことにも関わらず、以外と多くの方が参加してくれました。
講師は都留文科大学特任教授の内山美恵子先生です。専門は水理地質学。
水理地質学とは、地下水がどのように流れているかを研究する学問で、水文地質学とも言います。地下水に関しては、地質学より専門的な学問です。

内山先生の話は、地下水の流れの基礎から丁寧に教えていただきました。
新しい地層ですと隙間も多く水も早く流れますが、古い地層ですと空隙率も小さくなり抵抗も増えるため、水はゆっくり流れます。早いものですと数10年で雨が流れ、古いものですと1000年オーダー。こうした古い層の地下水が汚染される、と浄化するのに長い年月を必要とのことです。このことはしっかり頭に入れておいたほうが良さそうです。


* 内山先生資料

南八ヶ岳は、年代によっていくつかの溶岩がありました。

約40万年前〜 赤岳・阿弥陀岳付近の活動
       主に両輝石安山岩溶岩

約25万年前〜 古阿弥陀岳の山体崩壊(韮崎岩屑なだれ)

約20万年前〜 権現岳・御小屋山付近の活動
       主に両輝石安山岩溶岩

約18万年前〜 三ツ頭・立場川上流・硫黄岳付近の活動
       主にカンラン石角閃石両輝石安山岩溶岩

レノバ社の報告書によると、池袋(いけのふくろ)から上は葛窪溶岩、一回の溶岩の流れによる一つの溶岩層でできているということになっていますが、過去のボーリング調査を検討したところ、やはり、いくつかの層に分かれていたようです。

・富士見町境地区周辺の溶岩

観音平溶岩類:両輝石安山岩
大滝社溶岩 :カンラン石角閃石両輝石安山岩
池袋溶岩  :石角閃石両輝石安山岩
靴窪溶岩  :石角閃石両輝石安山岩
広原溶岩類 :カンラン石角閃石安山岩

この他、水温などの調査により、大泉・小泉湧水の涵養域は、鼻戸屋を起源とする葛窪溶岩と池袋溶岩地帯を流れ下る地下水とその地域に降った雨であるとの結論となりました。

これは、これまで開発側が説明してきた大泉・小泉湧水の水は西側、切掛沢を越えた小六方面から流れてくるという考えを覆すものです。
内山先生の意見では、建設予定地にメガソーラーを建設すると湧水への影響があるとしています。

内山先生は、すべて開発側が使った資料をもとに検討したのですが、なぜか結論が違います。終わった後にそのことを尋ねると、同じデータを見ても、そこには人間の解釈が必要になる」とのことでした。
しっかりした調査を行っても、それぞれの思いがある程度反映してしまうということでしょう。

だとすると、環境アセスを事業者が行う現在の方法は問題があるのではないでしょうか。「環境アセスを行ったから大丈夫」ということにはならないと思います。行政は、環境アセスが終わったからといって鵜呑みにせず、林地開発の許可申請や環境保全条例など、その都度しっかり精査しなければいけないと思います。

この意見書ですが、今後のため、本日富士見町と長野県諏訪地域振興局に提出してきます。
今回のことで大泉・小泉湧水の周りは、四回開発を止めたことになります。
これ以上、開発計画が持ち上がらないことを願います。

八ヶ岳山麓の水理地質の勉強会

水曜日, 4月 5th, 2017

八ヶ岳山麓の水理地質の勉強会を開催します。

境メガソーラー建設計画は地域住民の反対によって中止となりましたが、計画地が水源涵養林であることが認められたわけではありません。これで4回も開発を止めたのにもかかわらず、未だに計画地が地域住民の生活に大きな影響を与えることが証明されていないのです。過去にゴルフ場増設計画の裁判も、7年もかかったことでゴルフ場は儲からないことがわかり開発側が撤退したのすぎません。

そこで、今後のためにも都留文化大学の特任教授の内山美恵子先生に、水理地質学の視点から「富士見町境地区におけるメガソーラー発電設備設置についての意見書」を作成していただきました。
つきましては、内山先生に意見書の内容をもとに、八ヶ岳山麓の地下水についての勉強会を開催します。

次世代に残すべき自然とは何か、みなさんと考えることができたらと思っています。
ぜひ、多くの方の参加をお待ちしております。

長野日報のメガソーラー撤退の記事について

土曜日, 2月 4th, 2017

1月22日のレノバ社の撤退表明後の24日に長野日報に記事が出ました。

記事はこちらが読みやすいです → http://www.nagano-np.co.jp/articles/12796

この開発者寄りの記事は、非常に残念に思いまました。
過疎化が進む集落の夢を壊し、太陽光発電の適地にもかかわらず反対した地域住民がイケナイことをことをしたような、そんな記事に読めてしまうのはぼくだけでしょうか。
ちょっと前の話になってしまいましたが、このことはきちんと書いておきたいと思います。

まず、この計画が実施されることで、影響を受ける地域と地権者は違うということを前提として考えなければいけません。いくら若者が減っても、人口が減っても、ほかの集落に土砂災害のリスクが生じるような開発はするべきではないし、ほかの集落の人たちが飲んでいる湧水の近くに開発をすることは、やっぱりやってはいけないことだと思います。
自然エネルギーだから、エコだから、だから太陽光発電なら進めても良いと思ったのでしょうか。エコだろうが、良い施設だろうが、水源近くの開発はダメに決まっています。
かつて、この近辺の土地は3回も開発を止めたところですが、何の教訓にもなっていないようです。このことからも、今の太陽光発電ブームは、かつてのリゾート法や産廃問題と何の違いもないと思ってしまいます。

それからもう一つ、この計画地の地権者である財産区は貧乏ではありません。億単位のお金を所有しています。

財産区というのは市町村合併のとき、旧自治区が管理していた財産を新しい自治体に移さずに、旧自治区がそのまま管理するという行政組織で、自治法上の特別地方公共団体にあたります。山林や沼地、原野などの入会地や温泉、漁業権などがこれにあたります。
富士見町は昭和の大合併で、富士見村、落合村、本郷村、境村が合併して一つになりました。

かつて山林がお金になった頃は「財産」だったわけですが、木材は外材に変わり燃料としても使われなくなり、若者が減って管理も大変になり、今ではお荷物になってしまった山林。たしかに、このことは大きな問題で、しっかり考えていかなければいけません。
だからといって、メガソーラーにして賃貸収入を得ることが、若者支援になるのか、地域が活性化するのかは疑問に思います。財産区のもっているお金を使って森林を整備し、自然エネルギーである森林を残す方が、次世代のためではないでしょうか。
太陽光発電の利点はどこでも発電できることですから、何もそこにある自然エネルギーを潰さなくても他でつくれば良いと思います。

いま、日本の森林の蓄積量は49億㎥(平成27年度森林白書より)に達しました。
ちょっと古いデータ(2006年)ですが、森林大国であるドイツは33,8億㎥、スウェーデン31,5億㎥、フィンランド21,5億㎥。蓄積量だけ見ると圧倒的に日本は充実しています。日本にも資源はたくさんあったわけです。

今の森の問題は植林後にきちんと森を整備してこなかったため、お金になるような木が少ないこと、搬出するのにお金がかかることです。簡単に言うと(簡単なことではないのですが…)間伐をして路網を整備して林業が活性化すれば、森林資源も循環し経済も潤い雇用も生まれます。林業を育てる方が雇用を産まないメガソーラーよりよっぽど夢があるように思います。

原村の緑化創造舎は、道を整備しまだまだ成長しそうな木をなるべく残すという「森を生かす林業」を営んでいます。お酒を飲むと「あと10年もすれば、こんな太い木がいっぱいになるんだ」と、嬉しそうに話してくれます。

*以前、見学してレポートを書きました。 → きこり見学

自然エネルギーを語る場合、自然とどう付き合っていくかという視点が必要だと思います。
自分たちのライフスタイルそのものも見つめ直す必要があるのではないでしょうか。

境メガソーラーは止まりました。
でも、森を生かす方法を考えていかなければ、またこんな計画が持ち上がりそうですし、いずれ日本の山はソーラーパネルだらけになりそうです。
森を生かす仕組みについて真剣に考えていきたいと思います。