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総合事業への移行について

木曜日, 1月 12th, 2017

今年度から要支援1,2の予防訪問介護と予防通所介護が介護保険から、町の総合事業に変わります。簡単に言うと、身体介護までは必要としない軽度の方の、食事をつくったり掃除をしたり洗濯をするなどの生活支援とデイサービスが、これまで保険で賄っていたものを、これからは市町村の責任で行うということです。

これまでは、たとえばですが洗濯などの生活支援が1時間3000円ぐらいの単価。そのうち利用者負担は1割なので300円を本人が支払い、残りの2,700円を介護保険からという仕組みでした。それが、これからは保険ではなく各市町村がボランティアなどの協力をもとに実施していきます。もちろん、これまで保険で担っていた2,700円(あくまでも例えばの金額です)の部分は国から降りてくるのですが、今までよりは金額が少なくなります。
高齢化率が上がって、保険では立ちいかなくなっての対策なのですから当然ですね。

現在介護保険を使う後期高齢者の伸び3~4%に対し、予防給付(要支援者への生活支援)に使われる伸びが5~6%ですので、国はせめて後期高齢者の伸び率に抑えたいという考えです。
本当は洗濯ぐらい自分でできるのに、介護保険で低額で利用できてしまうことで、利用者さんのADL(日常生活動作)の低下により、早い段階で身体介護が必要になってくる可能性もあります。
2025年には一番人口が多い団塊の世代が後期高齢者になります。このことは施設が必要な介護者が増えることを意味していますから、その時には人やお金の資源は、本当に必要な介護者に行き届くようにする。そして、軽度者の参入をさえることによって、要介護者の伸びを抑制する必要があります。

では、どうすれば良いかというと、軽度者はなるべく市民の助け合いにより税金や保険を使わないようにし、税金や保険は重度の介護者に集中させること。有償・無償のボランティアであれば1時間の単価を500〜1000円前後に抑えられるため、利用者負担は増えますが社会的なコストは縮小することができます。どうしても払えない人に市町村が支援をしても今までよりもずっとコストを抑えることができるでしょう。
ですから市町村が行う総合事業というのは、市民同士の助け合いを担うNPO・市民団体を育成することが今回の改正の本旨です。


*厚労省の資料より

今後の具体的なサービスの累型は、以下の4種類になります。

訪問型
・サービスA:雇用されている労働者による緩和した基準によるサービス
・サービスB:有償・無償のボランティア等により提供される住民主体のサービス
・サービスC:保険・医療の専門家により提供される支援で、3〜6ヶ月の短期のもの
・サービスD:介護予防・生活支援サービスと一体として行われる移動支援

通所型
・サービスA:常用雇用者を軸にボランティアを活用する
・サービスB:有償・無償のボランティア等により提供される住民主体のサービス
・サービスC:保険・医療の専門家により提供される支援で、3〜6ヶ月の短期のもの

総合事業にかかるお金は、後期高齢者の伸び率以上は出さないと国は言っていますから、早い段階でサービスBに移行しないと住民サービスの低下となります。

この総合事業への進捗状況を12月議会で町長が答弁しました。

現行制度とサービスAを混在した形で進めていく。コスト削減のため、ボランティアサービス(サービスB)に移行すべきではあるが、いきなりは無理があるので徐々に進めていきたい。

非常に残念な答弁です。
この改正は平成27年度に行われ、移行期間の3年を経て平成29年度に完全施行しなければいけません。サービスAというのは今までよりも時間を制限したり、料金を下げる(事業者は赤字になるため縮小せざるえません)ため、現行のサービスの縮小でしかありません。

実はこうなることが心配でしたので、ぼくが議員の時、2年前に早くサービスBへ移行するように一般質問で取り上げました。その時の答弁はこちら。

今回の改正は、買い物、ゴミ出し、話し相手など、介護専門職でなくても、提供可能なサービスを地域で行う事がポイント。この活動を通して地域の絆が強まるように、町全体で意識を持って取り組む。地域包括支援センター、社協、住民福祉課を中心に移行期間である2年以内に実行に移す。

2年前の一般質問はこちらから → 改正介護保険についての一般質問

全然、できてないじゃないですかね。

市町村によっては総合事業に降りてくる財源を、サービスBの担い手になる市民団体への補助に使っているところがあります。サービスそのものは有償・無償のボランティアが行うにしても、それを管理するには家賃や事務費、人件費がかかります。たとえば横浜市は年間60万円の補助を出しています。

サービスBへの移行はコスト削減ばかりではなく、地域のつながりを強くする良いチャンスでもあります。高齢者支援だけではなく、子ども・子育て支援やゴミ問題など他でも通じる課題ではないでしょうか。

町長は人口減少を食い止めることしか頭にないようです。
ぼくはやっぱり市民活動や市民団体を育てることで、人口減少でも強い町をつくっていくほうが大事だと思います。

総合支援事業は地域づくり

日曜日, 2月 21st, 2016

千曲市で行われた市民協主催の研修会「改正介護保険と今後の地域の展望」に参加してきました。記念講演として行われた厚労省で今回の改正に関わった方の話が面白かったので紹介します。

介護保険制度は平成27年度に改正し、要支援1,2の軽度者が介護保険給付から地域支援事業(総合事業)に移されました。
この改正は3年間の移行期間があり、実施状況は地域によってかなり差があるようです。総合支援事業を平成27年度中に移行したところは17,9%。28年度中に始めるところを入れても60%にも満たない状況です。
長野県では27年度中に移行する地域は2カ所だけ。御代田町と駒ケ根市だけだそうです。

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進まない理由の一つは、大事なポイントである地域包括ケアシステムのことを理解していな行政職員が多いとのこと。

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地域に住み続けるには、介護・医療・生活支援が大事だが、介護保険外である生活支援・介護予防の担い手となっている老人クラブは会員数が減少し、自治会は役員のなり手がいない。ボランティア・NPOも育っていないという現状。
団塊の世代が後期高齢者になる2025年には生活支援・介護予防を充実させておく必要があり、今回の改正の目的は上図の赤枠の部分の生活支援・介護予防を育てるための改正とのことです。

2000年度に始まった介護保険制度は、3000円弱だった保険料は今では平均5,500円になり、このままいくと2025年には8000円を超えることが試算されています。
現在介護保険を使う後期高齢者の伸び3~4%に対し、予防給付に使われる伸びが5~6%であるため、せめて後期高齢者の伸び程度に抑えるため、介護予防と住民サービスを広げることが厚労省の考えですが、全国の反応は「これだと予防給付の訪問介護は7掛けですね。。。8掛けですね。。」といった現状の枠内で金額を下げるといった解釈しかできない困った反応に頭を悩ませていたようでした。金額を下げろということではなく適切な給付をし、専門性のいらない生活支援などは住民サービスを充実させることで対応させよう話だからです。

必要以上の給付は、自立支援の妨げになります。
必要以上の介助は身体機能を低下させ、自立する意欲も低下させることになってしまします。

そのため、要支援のADLは健全であることから、一定期間の介入により、元の生活に戻すことが必要。そして元気な高齢者にはサービスの担い手になってもらうなど、地域社会での活躍の機会を増やすことで介護予防につながります。

今までは全国一律の基準でしたが、地域で担っていく総合事業に移りました。
これは、既存の介護事業所に安くやってもらおうということではなく、総合事業の目的は介護保険枠外の活動をもっと応援するため、地域活動の裾野を広げたいのが目的。
介護予防の効果を出すこと。地域の活動を大きくすることが目的です。

既存の事業所は、仕事を奪われるという発想ではなく、将来37,7万人足りなくなると言われている中重度のサービスの充実を考えていくべきだと言います。

多くの人が誤解をしているようですが、総合事業は地域づくりであって、サービスづくりではないと断言。
地域をつくるというのはNPOを応援すること。様々なサービス体制を充実させる視点、地域の支え合いの体制づくりが必要だと言いました。

ぼくらNPOは、これまで市民と行政との協働のまちづくりを目指してきましたが、行政側はどこか安い下請けぐらいにしか考えていない節がありました。それが中央の役人が、今回の介護保険の改正は、市民とNPOの活動を応援することだと言ったわけですから、単なる制度改正ではなく、大きな社会変革だと思います。

日本は世界に先駆けて超高齢化社会(高齢化率21%以上)に突入しました。
社会保障費は増加し、労働人口が減るなか、行政でできることは限れれてきます。
今こそ、市民と行政とでつくる新しい公共の形を模索していかなければいけません。

コミュニティ財団

水曜日, 11月 18th, 2015

長野市で、全国コミュニティ財団協会主催の「コミュニティ財団ガイドライン策定委員会兼会員勉強会」が2日間にわたり開催されました。最近、みらい基金の仕事をちょこちょこやらして貰ってるので、ぼくも参加させていただきました。
ちょっと刺激的な集まりだったので紹介しておきます。

コミュニティ財団とは、寄付などを集めて原資にしているところが多く、NPOなどの市民団体の公共的活動を資金面から応援し地域の課題解決にあたります。他の財団との違いは、地域に密着していることが特長。認定NPO法人長野県みらい基金は、地域を長野県としてNPO、市民団体を応援しています。

初日は情報共有ということで、各団体の活動紹介のほか、休眠口座、遺贈などの話がでました。

休眠口座というのは、10年間使われず本人確認もとれないような口座のことで年間1000億円〜800億円あります。この休眠口座を議員立法で公共的活動に使えるようにする動きがあるのですが、決まりそうな状況になってきたそうです。コミュニティ財団が使えるお金はmax500億円ぐらいで、「子ども及び若者支援、日常生活を営む上で困難を生じる者の支援」に使われることになります。臨時国会が開かれなくなったので、ちょっと先になりましたが次の国会では、ほぼ通るだろうとのことでした。

しかしマイナンバー制度も始まり、管理が行き届くことで休眠口座も無くなるので、活用できるのは10年ぐらいではないかということです。その間に休眠口座の資金を活用してローカルの中でどのような仕組みを作っていくのかが今後のテーマになるだろうとの話でした。

続いて遺贈の話です。
3日ぐらい前に公表された政府税制調査会の中間報告に以下の文言があります。

「税を通じた再分配だけではなく、遺産による寄付等を促進するなど、遺産を子・孫といった家族内のみで承継せずに、その一部を社会に還元することにより、次世代における機会の平等や世代内の公平の確保等に資する方策を検討することが重要である」

税調が自分の取り分を放出するような発言は前代未聞で、今後、相続税の方面でも税制改革により「寄付」が促進されるであろうと思われます。これは国、行政だけでは多様化した社会の中で解決できない課題が多く、市民の力で解決をしていく方法を模索していかなければいけない状況になったと言えるでしょう。

しかし、この遺産が地方からかなり首都圏に流れてしまう可能性があります。
地方で高齢者が亡くなって相続者が東京に住んでいる場合、当然遺産は東京に流れていきます。その規模は今後20~30年の間に20~30兆円と言われています。

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*図・「相続で多発する家計資産の地域間移動」住友信託銀行より

長野県は、かなりヤバい方ですね。
この問題は結構深刻で、遺贈や寄付、ふるさと納税の活用などの対策を講じていく必要があります。3億円弱も使ってテレワークで何人呼んだとか言ってる場合ではないような気がします。

次の日はガイドラインの作成のためのワークショップです。
休眠口座の活用に伴い、コミュニティ財団に参入してくる団体は多いと予想され(すでに協会に問い合わせはいくつかあるとのこと)、コミュニティ財団をきちんと定義したガイドランが必要とのことです。

コミュニティ財団は地域に密着し、地域の課題解決のための公共的活動を支援するものでなければいけません。今回の集まりもこのガイドラインの作成が目的で、このガイドラインは年度内にもできあがると思われます。

地域ごとそれぞれの特色があり、そこに住む人々が幸せに暮らすためには中央集権型ではなく、市民を中心としたまちづくりが必要だと思います。地方分権や改正NPO法、今回の休眠口座、コミュニティ財団など、国も世の中もその方向に向かっているのですが、まだまだ地方がついていけてない状況です。東京の価値観で物事を考えることから独自の価値観からまちづくりを考えていかなければいけないでしょう。

これからNPOを立ち上げる側としては、公共的活動の支援について熱く語っている人たちをみて心強く感じました。
今回の介護保険法の改正は市民力が試される改正です。ぼくたちNPOは、こうしたシステムをうまく利用して、良いまちづくりの一翼を担えたらと思います。

生活支援コーディネーター養成講座

日曜日, 11月 15th, 2015

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県主催の生活支援コーディネーター養成講座に参加してきました。
改正介護保険法により、要支援1,2の予防給付は介護保険から外され地域支援事業となりました。これまで国が保険を使いサービスを提供してきたものを、市町村の責任で「市民相互の支え合い」によって行います。

この「市民相互の支え合い」を行う上で、新たに制度化されたものが「生活支援コーディネーター」と「協議体」です。
この2つの機構が、地域で高齢者の在宅生活を支えるために、様々な生活支援サービスが日常生活の場で適切に提供できるような地域での体制を作り出すための推進役となります。

厚労省のガイドラインによると、生活支援コーディネーターの具体的な役割は以下の4つです。

 ①ボランティアの養成
 ②住民主体の通いの場の設置等生活支援の基盤整備
 ③地域の資源開発
 ④関係者のネットワークの構築

今回の改正は、大量の市民によるボランティアを前提としたのものですが、生活支援コーディネーターが、高齢者のニーズを調査し、足りないサービスを開発し、地域のネットワークを構築して高齢者の生活を支える体制づくりをしていきます。
改正介護法のイメージする大半を生活支援コーディネーターが担うわけですが、もちろん一人でできるわけがなく、この生活支援コーディネーターをバックアップする仕組みが協議体になります。

協議体は、多様な事業主体の参加が求められています。
地域包括支援センターや社会福祉協議会はもちろんですが、ボランティア団体やNPO、シルバー人材センターや自治会、老人クラブなどの参加が考えられます。そのほか、高齢者の社会参加の視点で考えた場合、子育て支援のNPO、市民団体も対象となってきます。

より多様な組織が協議体に入ることで支え合いの体制は強化されるわけで、これは高齢者福祉の範囲を超え、これからの少子高齢化の時代のための新たなまちづくりとして取り組む必要があると思います。
最近は人口減少を食い止める施策ばかりが目立ちますが、改正介護保険法は人口が減少しても、負けない強いまちづくりをつくる視点が必要で、こちらの方がよっぽど重要だと思うのは僕だけでしょうか。

この日の参加者は、県が自治体に生活支援コーディネーターになると思われるものを参加させるようにとの通達があったので、地域包括支援センターや社協が大半でしたが、これからはインフォーマルなサービスの充実が重要になってきます。もっと市民団体やNPOも参加しやすいものにするべきだったと思います。インフォーマルなサービスを提供するNPOや市民団体は、生活支援コーディネーターにならなくても、同じような動きをすると思われますし、協議体の中でも重要な役割を担うからです。
自治体は、これまでの枠組みを超え、もっと市民団体との協働を考えていかなければいけません。

この制度改正は今年度から始まり3年間の移行期間中です。諏訪6市町村は足並み揃えて来年度から協議体をつくっていくでしょう。
まちづくりが新たに始まろうとしています。

政策サポーター制度

水曜日, 2月 25th, 2015

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2月のみどりネット信州政策研究会は、飯綱町議会の寺島議長をお招きして「人口減少時代の集落自治をどう支えるか」と題して行いました。

飯綱町は10年ほど前に合併してから毎年100~150人人口が減少。首長や行政は経済成長期が右肩上がりの頃の発想からのけ出していないということで、政策提言型の議会へと改革をしてきました。
しかし、合併して50に増えたのに議員数は15名、議員は地域から遠い存在に。
そして議員になる人は自営業、農家、退職者がほとんどで平均年齢は64歳。
とても世相を反映しているとはいえない状況です。
そこで政策サポーターを募り、町民と議会と一緒になって政策を提言する仕組みを作りました。

政策テーマは以下の4つ

・行財政改革
・都市農村交流事業
・人口増加対策
・集落問題の提言

政策サポーターはテーマごと募り、全部で27名。
サポーターは公募したのだが、集まらず議員が個別のお願いすることから始まりまったそうです。

取り組みを始めてわかったことは、住民の皆さんに理論的・政策的、高度なものを求めてはダメ。地域の現状、住民からの要求、いろんな悩み、現実問題を徹底的に会議に出してもらい、議会はそれを受け止め政策提言をする。この方法で参加したサポーターも意見が言いやすくなり活発な会になったそうです。

集落問題では地区によって悩みはいろいろありますが共通した課題もあり、地区の団体の役員になりたくないなどの意見がとても多かったとか。こうなると一番最初にダメになるのは高齢者クラブで会計をやりたくないために団体をやめるといった人が結構いるんだそうです。
どこでも同じような悩みを持ってますね。

この役員のなり手がいないというのは集落機能が脆弱していることを現わし、いろいろ話し合っているうちに、男性世帯主を中心とした伝統的な集落運営ができなくなってきたということがわかったそうです。若い女性など元気にやっている団体もあり、男性世帯主中心が足かせになっていたというわけです。

こういった話し合いを元に政策サポーター(町民)と議会で「集落機能の強化と町行政との協働の推進のための政策提言」を行い。この活動でマニュフェスト大賞をとりました。

政策サポーター、とても良い取り組みだと思います。
ちょっと違いますが、一つのテーマを町民のみんさんと議会とでワークショップ方式の話し合いをしたらどうかと、議会改革検討委員会に提案したことがあります。
議会報告会も大切ですが、ああいった場で一般の人が意見・質問を出すことはなかなか大変。また行政への意見やお願いなどの意見が多く、行政執行権も予算権もない議会はその場で答えることもできず、なんだかしっくりいかないことが多いように思います。委員のみなさんは概ね「いいね」という返答でしたが、その後バタバタして実行に移せなかったことは残念です。

経済成長の停滞が続き、少子高齢化などの問題がある中、住民参加の自治ということがとても大切になってきました。富士見町議会も住民参加の仕組みを模索していくべきだと思います。