Archive for the ‘井戸尻のこと’ Category

ゴルゴ13 縄文の火編

火曜日, 3月 22nd, 2016

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ゴルゴ13で縄文土器の修復問題が取り上げられたというので読んでみました。
ビックコミック3月10日号と3月25日号掲載です。

内容はというと。

若い研究者藤山と恩師の但馬教授は土器の修復についての考えで対立しています。
藤山は最近行われている欠損部分を境目もなく結合し、アクリルできれいに塗装してしまう過度の修復を問題と思っています。
出土した状態のままの方が年月を思えて良いし、また、ごつごつと素朴だった表面がツルツルに磨き上げられ、一つだった突起物が新たに足され二つになった修復もあり、これでは学問ではなく創作だとの意見です。

一方、但馬教授は修復によって生き生きとよみがえらせることで縄文文化の良さがわかるとし、突起物が増えたことは研究の成果であリ、創作ではなく学問だという考えです。

やがて藤山は、過度の修復は修復業社との癒着や背景にある海外の美術コレクターの存在を疑い始めます。
だんだんと藤山の存在が邪魔になってきて…

と、まあこんな感じです。
尖り石遺跡の縄文のビーナスも紹介されてます。

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縄文土器の修復に関わる問題は、去年の3月議会で一般質問に取り上げました。
過度の修復は、税金の無駄使いであり井戸尻の研究を壊すものだという内容です。
  以前のブログ 藤内遺跡出土品の修復についての一般質問

その後、縄文土器の修復は「研究者の告発」としてサンデー毎日に掲載され、全国的な問題となりました。
文化庁が、重文指定のおり求めてくる修復方法は過度なものであり、行政上、学問上、問題があるというものです。
  以前のブログ 縄文土器修復問題のスクープ

これまでの石膏とセメダインでの修復は数千円。今の修復は30万〜数100万円もかかるので、修復業社との癒着や海外コレクターを登場させたくなるのもわからないでもないですね。そうしないとゴルゴ13の出番もないわけですし…
このゴルゴ13では、過度な土器の修復側を悪者とて描いているのが面白いです。

癒着かどうかはわかりませんが、この土器の修復問題は、文化庁、学会ともにしっかり議論をして答えを出していただきたいと思います。修復にかかるお金は僕たちの税金ですし、土器や土偶は次世代に残すべき大切なものだからです。

さて、富士見町の土器や土偶はというと。

文化庁指定の修復方法には明文化されたものはなく、法的根拠はありません。文化庁は修復が重文指定の交換条件ではないとしながらも、サンデー毎日の取材に「修理を含め、信頼関係がないままでは辛いので、冷却期間を置かせて欲しい」として2,3年は富士見町の重文追加指定に向けた調査を行わない「棚上げ方針」を明言した。(H.27.7.19サンデー毎日より抜粋)

平成28年度の富士見町の予算書に、修復費用は載っていません。
しばらく、土器の修復は「棚上げ」のようです。

縄文土器修復問題のスクープ

土曜日, 7月 25th, 2015

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先週のサンデー毎日に縄文土器修復の問題が取り上げられました。
前井戸尻考古館長が、文化庁指定の土器の修復方法は樹脂で固め、元の風合いを残さない過剰な修復だとして告発している内容です。

藤内遺跡出土品の重文指定のおり、文化庁が指定の方法で修復を要請してきましたが、壊れてもいない土器をバラすのも変な話ですし、つなぎ目も無くし樹脂でテカテカに仕上げた修復方法は考古遺物というよりは美術工芸品のような仕上がりになってしまいます。
また、その費用は高額で一体につき、数10万円から数100万円もします。

*この問題は今年3月議会の一般質問で取り上げました。
      藤内遺跡出土品の修復についての一般質問

サンデー毎日の記事は、文化庁しての修復方法で土器が「変造」されたことを中心として書かれているため、ゴシップ記事のようなイメージも受けますが、前館長たちが日本考古学協会に提出した要望書は、重要文化財の修復に関わる行政上の問題、学術上の問題を挙げ全国的な検証調査を行っていくことを望む内容です。

文化庁指定の修復方法には明文化されたものはなく、法的根拠はありません。文化庁は修復が重文指定の交換条件ではないとしながらも、サンデー毎日の取材に「修理を含め、信頼関係がないままでは辛いので、冷却期間を置かせて欲しい」として2,3年は富士見町の重文追加指定に向けた調査を行わない「棚上げ方針」を明言した。(サンデー毎日より抜粋)とあります。重要文化財とは歴史上、学術上重要なものを指定するのかと思っていましたが、「信頼関係」を持ち出す文化財調査官のコメントには驚きです。

考古学界重鎮3名のコメントが寄せられていますが、名古屋大学名誉教授渡辺誠氏のコメントがわかりやすいので紹介しときます。

…たとえば、「出産土器」は壊すことで人の再生を表す儀式的な使われ方をする土器だ。従って壊れていることに意味があり、一般の人が見てもその痕跡がわかるような修復をすれば、縄文土器への理解が深まるのではないか。
また土器も当時、病気平癒などを願い壊されるために作られたのだが、ほぼ壊れていない状態で出土されることもある。その場合は土偶そのものの形を見せるのがいい。
土器土偶にはそれぞれ意味や用途があり、それに沿った復元がなされるべきだ。

…再修復する際は、すべてバラして再度組み合わせる方法を取っている場合が多い。だが、それ自体が土器を痛める原因であり、一番の問題だ。接合部分が外れている部分だけを補修するなど、新たな修復の手法をとることも重要でなないだろうか
                             〜サンデー毎日抜粋〜

今週のサンデー毎日によると、8月にも埋蔵文化財保護対策委員会の第一回の会合を行う方向で検討中とのこと。
国民に見える形で議論していただきたいと思います。

藤内遺跡出土品の修復についての一般質問

月曜日, 3月 23rd, 2015

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富士見の坂土遺跡出土の土偶が重文指定になったことで沸いておりますが、3月議会で重文指定なった場合の文化庁が推奨する修復方法に問題があるとの一般質問を行いました。

・藤内遺跡出土品重文指定の追加指定について

①平成24年に購入した藤内遺跡出土品の重要文化財追加指定の進捗状況は。

町長・・・平成24年度購入した出土品は231点、そのうち29点は重要文化財候補として申請のデータを作成中。

②重要文化財指定にあたり改めて修復が必要とのことだが、費用はどのくらいかかるのか。

町長・・・すでに重要文化財に指定された出土品が199点。その中で修復が緊急だと思われるものは24点あり、国の補助を頂き修復の予定。総額は2500万円程度かかるが27年度は国の予算が流れ、28年度に再申請の予定。

③文化庁指定の修復方法に問題があるとの意見もあるが、どのように考えるか。

町長・・・文化庁指定の修復方法は綿密に指定されているので、これを逸脱して修復するつもりはない。他の市町村でも同様だと聞いている。

④重要文化財指定後、どのように活用していくか。

担当課・・・藤内遺跡の特別展、講演会などを開催し、広く国内外に藤内遺跡の貴重性をPRし文化財に対する郷土愛の醸成を図っていく。土器の複製品(レプリカ)もつくり、公共施設や宿泊施設に置いて町民や観光客に、より縄文土器が富士見町にあること、また身近に感じられるような事業を展開していく。また学校教育にも活用していく。

⑤重要文化財指定にあたり、考古館の老朽化をどのように考えるか。

町長・・・耐震性は確保されている。ただし一部の棚、収蔵庫について弱いところがあるので、これを直すことを計画中。

富士見町は、平成24年に個人所有の藤内遺跡出土の土器・石器231点を1500万円で購入しました。
購入にあたり議会へも重文指定の可能性があるとの説明がありましたが、個人所有から町のものになったということで、改めて重文指定の話が持ち上がっているようです。そこで土器の修復の話がではじめたのですが、この修復方法に問題があると指摘する人がいるので今回一般質問として取り上げました。

修復方法の問題というのは、継ぎ目などを樹脂で固めてまわりをコーティングしてしまうので、継ぎ目も見えなくなり土器の風合いも無くなってしまう。壊れてもいないのにバラして頑丈にするために修復し直すとのことです。
とりあえず県内県外の博物館に片っ端から行ってみました。
井戸尻の研究は、土器の文様から縄文時代の精神世界を読み解くことを重要視しています。
もし本当なら大変なことです。

継ぎ目もなく色合いも統一してしまった土器は、ひとうひとつの個性がなくなってしまっているように思いました。ある博物館ではパンフレットや絵葉書に、修復前のものを使っているので違いは一目でわかります。
ところで最近の考古博物館では、雰囲気ばかりを大事にして暗すぎるように思います。藤森栄一さんは土器や土偶は考古資料なのだから美術品のような展示方法ではなく、学問的な陳列方法にするべきだと語っています。
考古資料ではなく美術工芸品としての縄文土器との考えから、こうした修復方法になってしまうのかもしれませんね。

修復の問題を指摘し、再度質問。
担当課の回答です。

文化庁が進める修復方法は、地震などの災害、事故に遭遇したときに、できるだけ良い状態を保てるように修復することだが、町の石膏やセメダインを用いた復元方法は、劣化するため文化庁では認めていない。
この修復方法は20年前より行われており、ほとんどの市町村で実施されている。
ただし、考古館、修復業者と協議の上原型に近い修復をしていく。

修復業者と話をする機会があったので、いろいろ聞いてみたところ、現在は石膏の代わりにエポキシ樹脂、セメダインの代わりにアクリル樹脂を使ってコーティングしているとのこと。石膏は全く問題がないがセメダインは劣化して接着面が収縮するため外れることがあるそうです。(だったらセメダインの粘着力が落ちたところで、その都度セメダインで接着し直せば良いのでは…)

継ぎ目を残すような修復方法は、技術的には可能だが国庫補助を受けての事業なので文化庁が、それで良しとするかはわからない。(修復は国50% 町50%の事業です)

井戸尻の復元は初期の考古館長武藤雄六氏によるものですが、武藤氏の復元方法の強度は定評があり、本人に話を聞いたところ石膏の作り方にコツがあるそうです。

現状壊れてもいないし、頑丈に出来ているのにもかかわらず、なぜ修復をしなければいけないのでしょうか。
ちょっと調べてみました。

文化財保護法には、文化財を保護するために建物をきちんとしなさいとか、きちんと学芸員を置きなさいとか文化財を保護する背景については書かれていますが、文化財をどのように修復しろとまでは書かれていません。そして埋蔵文化財について文化庁は、平成9年に出された「出土品の取り扱いについて」を参照しろとしていますが、こちらにも明文化されたものはありません。

文化庁の言うとうりに修復しなければいけないという事でもないようです。

技術的なことを素人同士で討論しても仕方がないので(記録に残すために討論はしました)、次世代に残すべきは井戸尻の学問としての精神。美術工芸品にして重要文化財にするよりも井戸尻の精神を大切にするべきではないかとの質問をしました。

以前、前館長の小林公明氏から「常に良いものだけ見ていれば良い。そうすれば違うものを見たときに”あれっ”と気づく。その気づきが大切なんだ」と教えてくれました。似たようなことを小林秀雄の本で読んだことがあるような気がします。
藤森栄一氏は、恩師三澤勝衛氏から「頭で考えるな。見て触って考えろ」とよく言われたと著書に書いてあります。
井戸考古学は、この流れを汲み土器の文様を読み解き縄文人の精神世界を読みとくという、他地域の考古学とは違う学問になっていったのではないかと思います。

だからぼくは、これは単なる修復の話ではなく、井戸尻の考古学や先人たちの考古学に対するスピリットを守っていくのか。重文指定と引き換えに美術工芸品として後世まで残るように修復するのか。そういった問題だとおもます。

副町長の答弁です。

重文は町民の誇りにもなる重要なことだと考える。ただし修復に関しては先人たちの意見を聞きながら進めていく。

藤森栄一氏は、諏訪湖に眠る曽根遺跡を浚渫工事から守り、旧御射山遺跡をビーナスラインから守りました
ぼくらは井戸尻遺跡の出土品を通して、藤森栄一氏や、一緒に発掘の携わった武藤雄六氏たちの精神を受け継いていかなければいけないと思います。

  文化財は正しく次代に継承されるべき社会遺産である。
  今われわれが壊していいとか悪いとかいうこととはちがう。

            〜 考古学とともに 藤森栄一 〜

国庫補助がつくまでに1年の猶予ができました。
次世代に残すべきものは何か。
きちんと精査し、慎重に進めていただきたいと思います。

3月議会一般質問

火曜日, 3月 3rd, 2015

3月議会の日程が決まりました。3月5日から17日までの13日間です。

平成27年度の当初予算、テレワーク構想含む地方創生交付金関連の補正予算、第5次総合計画などが主な議案です。
今年の予算の概要はこちらで見ることができます。

今回の一般質問は井戸尻考古館の文化財保護についてをテーマにしました。

・藤内遺跡出土品重文指定の追加指定について

 ①平成24年に購入した藤内遺跡出土品の重要文化財追加指定の進捗状況は。
 ②重要文化財指定にあたり改めて修復が必要とのことだが、費用はどのくらいかかるのか。
 ③文化庁指定の修復方法に問題があるとの意見もあるが、どのように考えるか。
 ④重要文化財指定後、どのように活用していくか。
 ⑤重要文化財指定にあたり、考古館の老朽化をどのように考えるか。

                             答弁者:町長

眼目は③。
3月9日(月) 14:00頃からになります。

他の方の一般質問はこちら
http://www.town.fujimi.lg.jp/uploaded/attachment/11293.pdf

よろしかったら議会へ傍聴にお越しください。

住民懇談会での井戸尻考古館のこと

月曜日, 11月 3rd, 2014

住民懇談会の境地区で、会場から井戸尻についての意見が多く出ました。

井戸尻はこれまで学術面も観光面も、大きな成果を上げてきている。もう少し力を入れて欲しい。

この地域には井戸尻もあり、八ヶ岳観光圏の話し合いに参加させて欲しい。

自分は1年前に引っ越してきたのだが、地域の人の井戸尻に対する思いが強いことを感じている。この住民懇談会の資料の表紙も井戸尻。その割には、建物などお金をかけていないように思える。

などです。

町長の答弁は、井戸尻を茅野市なみの観光地にすることは無理がある。町の文化遺産として後世に残していくため、学術機関として支障のないように予算配分はしていく。といった内容でした。

この問題は、9月議会で一般質問に取り上げています
ぼくも観光面よりも学術機関としての維持が必要だと思いますが、現状はそこも危ないくらい人員が削られているというのが僕の認識です。考古館の職員は人数を減らされた状況で研究機関としての役割のほか、井戸尻史跡公園の管理もしなければいけません。

人員の削減により公園の整備が行き届かなくなり、近隣の境地区、特に池袋の人たちにとっては、とても大切な蓮池が残念な状況になっているので、多くに意見が出たのだと思います。
公園の整備は観光という側面よりも、地域の人たちの大切な場所であるという認識を持つべきでしょう。

以前は、考古館職員と発掘に関わる人たちが公園整備に関わり、突然発掘事業が入った場合でも体制は万全だったという話を聞いたことがあります。文化を守っていくということは、守るための体制を考えていく必要があると思いますが、現状はそれ以前、職員が研究と公園の整備を少人数で行なっている。この状況はすぐにでも改善していく必要があります。

住民懇談会でテレワークの1億5000万円の説明で、そのくらいの財力はある、心配ないとの町長の発言がありました。だとしたら、町民にとっって大切な存在の井戸尻考古館に、きちんと予算配分をするべきだと思います。

人口減少のなか、他地域から人を呼ぶことも大切ですが、まずは富士見で暮らす人たちの幸福度を考えることが先ではないでしょうか。