Archive for the ‘みどりネット信州’ Category

長野県子ども支援条例

木曜日, 11月 28th, 2013

今月のみどりネット信州のテーマは「長野県子ども支援条例」についてです。

阿部知事は前回の選挙で子どもの権利条約を参酌した「子ども条例」の制定を公約にし、子どもの育ちを支えるしくみを考える委員会を立ち上げ、子どもたちにアンケートなど調査しながら話し合われ、今年7月に最終とりまとめを提言として知事に提出をしました。

2人の副委員長、諏訪児童相の顧問弁護士も務める北川和彦弁護士とNPOすわ子ども文化ステーションチャイルドラインの宮澤節子氏をお呼びしての勉強会ですが、直前の25日に子ども支援条例骨子案が発表されたので、提言と骨子案の差なども話して頂きました。

まずは提言について

条例ありきではなく子どもの育ちを支えるしくみを考えようということで、子ども権利条例検討委員会ではなく子どもの育ちを支えるしくみを考える委員会という名で23年度にスタート、小中高7000人にアンケートをとり現在子どもたちの置かれた状況を検討し、子ども部会をつくり、どういった条例が良いか話し合いをしてきたそうです。

アンケートのよると自己肯定感がある子は63%と他県よりも高いが、大人や友達に暴力を振るわれたとき、他の人に相談するのではなく、我慢する子が6割以上いることがわかったため第1に相談・救済機関、そして県内の子ども・子育て支援のNPO・市民団体が各地でバラバラで活動していることから、県が主導でネットワークを構築していきます。

支援策は子どもの育ちを支援することと子どもの育ちを支える者の支援を2つの柱とし、相談・救済機関は教育委員会とは別組織として首長のもとに置き、相談はチャイルドラインの受けて研修を終えているような専門家を配置する。以前も紹介しましたがチャイルドラインはアドバイスではなく”聴く”に徹する、いわば相談を受けるプロなのです。

長野県の子どもたちは比較的自己肯定感が高いのですが、弁護士140名のアンケートでは非行に走る子どものほとんどは自己肯定感が低いとの回答で、自己肯定感を高める工夫が必要。
そのため子ども参加、居場所づくりが提言に盛り込まれています。

子どもの育ちを支える者の支援の中心に考えているのは教職員。
現在、東北信、中南信にそれぞれ相談窓口があるようですが、教育委員会の人と一緒に相談にくるシステムで一人で相談に来ることができる場所はないそうです。
ちょっとおどろきですね。
上司と一緒にメンタルに行く社員がどれだけいるのでしょうか。
直接、相談に行ける第三者機関をつくるべきとのことです。

子どもも大人も秘密を担保にしてくれる安心できる場でなければ、誰も相談しませんよね。

そして各地域に公共と地域、NPO、市民団体とでネットワークを組み、地域で子どもたちを支えるしくみをつくる。

この提言の基本的な理念は

・子どもは、一人の人間であり、そのいのちや尊厳や人格が大切にされ、社会の一員として共に生きるパートナーであること。

・子どもは、生まれた時から生きる意思と力を持っている。子どもがその意思と力を発揮して能動的、自立的に活動しながら、のびのびと成長していくことができるように、おとなは支えていくこと。

これは権利条約をべースにしており、大人が何かを与えていくのではなく、子どもを信じて支えていくという子ども観にあります。

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で、県の骨子案

5項目あげている基本理念はそれぞれは良いものですが、上記の2つの理念が抜けているため、大人が子どもに与えているようなイメージになってしまったため不十分。

これは保守系議員がなぜか子どもの権利という言葉がお嫌いであるためと思われます。
国会議員も地方議員も、市民の権利を認めない議員なんてやめてもらいたいと思います。

今回の条例の目玉は相談と救済の充実で、委員会で話し合われたことは相談と救済は一つの組織だが、県の骨子案イメージ図だと別々の機関となっていて、それぞれの連携の難しさを感じるそうです。

そしてこの相談・救済機関(子ども支援委員会)の任務

「委員会は、以下の子どもの人権侵害に関する事項について、調査審議し、関係する県の機関(知事・教育委員会)に意見(勧告)することができる。

とあるが、一番大切なのは調査審議の後、子ども、保護者、学校の調整なのに勧告でとどまっている。これでは学校側にしてみると恐ろしいものができてしまった印象になるとのことです。

子どもの問題が起こったとき、まずは子どもの話しを聞く、その後学校や保護者と調整をしながら救済をしていくことを考えるべきで、一番大事なものが抜けているようです。

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せっかく条例ができるわけですから少しでも良いものにしていきたいと思います。
24日までパブコメを募集しています。意見をどんどん言っていきましょう。

http://www.pref.nagano.lg.jp/kodomo-katei/koshipabukome/20131125.html

とはいっても普通の人は条例というものは馴染みがないものです。
のびのびネットワーク、こんなまちすみたいネットワークでは各地で勉強会を開催します。

このブログでも紹介しますので、ぜひ参加してください。
まずは諏訪で12月8日午後、場所は未定。またお知らせします。

EV(電気自動車)を活用した持続可能な社会づくり

土曜日, 10月 26th, 2013

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今月のみどりネット信州の政策研究会は白馬EV推進協議会副会長で日本EVクラブ白馬事務局長の渡辺俊夫さんをお招きして「EV(電気自動車)を活用した持続可能な社会づくり」のテーマでした。

横浜市と日産が連携してEV(電気自動車)のカーシェアリングが始まったそうです。カーシェアリングはヨーロッパが発祥で利用者にとっては維持費の削減といった利点があり、必要な時に一定の利用料を払うため過剰な利用が減り、エコロジーとされています。
しかしヨーロッパと違い、日本ではまだ車が財産という感覚があるので、カーシェアリングが普及するのに時間がかかりそうです。

現在日本で走っているEVは去年のデータで1万2000台。
このEVはを動かすのは当然、電気が必要なのですが、充電には8時間かかるので夜寝ている間に充電をします。移動先では高速充電器で30分。ここのところ全国で急速に増えていますが、まだまだ足りないようです。

長野県では長野県環境エネルギー戦略のなかで、次世代自動車充電インフラ整備ビジョンとして、充電インフラ整備を促進しています。

現在、白馬村は電力自給率が84%。まずは電力自給率100%を目指したい。
そして白馬EV推進協議会では小水力、バイオマスで発電してEVに使う。シャトルバスに使う。カーシェアリング、オンデマンドタクシーに使う。EVの村内普及。農機具の電力化も考えているそうです。

白馬村は海外からの観光客も多く、自然エネルギーの活用、EVの活用による排ガスの減少はクーリーンなイメージはとても観光にも役に立っているようです。

化石燃料の埋蔵量は限られているわけで、EVの普及は今後考えていかなければいけないと思います。

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で、EV運転させて頂きました。車種は三菱の軽バンです。

加速の良さに驚きです。
なんとなくパワーが足りないイメージを持っていましたが、坂道もぐいぐい上ります。
振動も少なく、思いのほか快適でした。

だいたい満充電で100kmは走り、燃費はガソリン車に置き換えるとリッター60kmぐらいかな。とのことでした。

坂道は電気を食いますが、下り坂は回生ブレーキがあるので逆に発電してくれるそうです。
もう少し安くなったらほしいかな。

 

ドイツのクアオルト

木曜日, 8月 29th, 2013

みどりネット信州8月政策研究会は「ドイツに学ぶ、日本における新しい健康保養地」と題して、ドイツの気候療法研究と温泉視察に行ってきた高山村議の梨本氏に報告をして頂きました。

長らく景気低迷が続き、スキー場や温泉地が数多くある長野県は観光立県再興を打ち上げ観光基本計画を作成しました。
県の総合5カ年計画しあわせ信州創造プランでは農山村産業クラスター形成プロジェクトとして、長野県の自然豊かな景観を活かし、農林業を基礎とした県民参加型の観光を目標としています。

梨本さんが行ってきたのはドイツのガルミッシュ=パルテンキルヒェンという都市で、リハビリ用の病院と連携し、豊かな自然を利用したクアオルト(健康保養地)として年間20万人を超える滞在者が訪れています。

クアオルトとは治療や療養、保養で中長期滞在をすることをいい、現在ドイツでは374カ所のクアオトルがあり、ガルミッシュ=パルテンキルヒェン地区は気候療法を自然環境、特に森林内、山や谷間などの地形を利用して歩行運動し、病気の治療や健康・体力づくりを目的とした気候療法を取り入れた保養地として有名です。

気候療法の治療効果は医学的、生気象学的にも実証済みです。

・手軽で簡単に歩く
 1)成長期 体格・体力の育成
 2)壮年期 心配機能・自律神経系の調節・鍛錬
 3)老年期 運動器の老化の防止、運動能力・反射神経の維持

生活習慣の予防に効果があるとされる歩道の条件
 1)よく整備されて歩きやすいこと
 2)充分な道幅をもつこと
 3)危険な崖っぷちにないこと

ガルミッシュ=パルテンキルヒェンは99カ所の山歩きのコースがあり、様々な層、治療法に合わせ整備されています。

気候療法の大家アンゲラ・シュー教授の地形療法用歩道の要件
・原則として30kmの歩道が必要
・種々の長さの異なった歩道の整備
・異なった勾配の歩道を用意する
・異なった海抜、高度の場所に歩道を設置する
・歩道は生活道路から十分離れた場所に設置する
・日陰を多くする
・歩道の表面を多様にする
・治療用歩道は、患者の集合地点から近いところにする
・歩道の途中に短時間の休憩所をつくる
・休息所をつくる
・部分浴施設をつくる
・正確な地図をつくる

今の日本の山間部は、農道をはじめとした車の移動を優先に考えてつくられています。
もっと歩いてたのしい道があっても良いかもしれません。

梨本さんは長期滞在に必要なものとして
・良い商店街
・文化施設(音楽堂・図書館など)
・たのしい仕掛け
の3点を挙げています。

長期滞在にはあきさせないことが必要で、それには住民の文化レベルを高め訪れる人をもてなす技術も必要なようです。

観光に力を入れるなら日帰りではなく、滞在型を考えていかなければ地域の経済は豊かになりません。
山間部が多く、温泉の多い長野県はドイツの健康保養地に学ぶことがたくさんありそうです。

長野県観光部は26日、山岳や高原を生かした「世界水準の滞在型観光地づくり」を進めるための研究会で滞在型観光地のモデル地域に木曽町、大町・白馬村・小谷村、飯山・中野の3地域を推薦しました。
これから観光に対する考えが変わっていくかもしれませんね。

不用食器回収活動

金曜日, 5月 31st, 2013

今月のみどりネット信州の政策研究会は不用食器のリサイクルの取組をしている松本市消費者の会副会長の織田ふじ子さんのお話を伺いました。

この取組は6年前、まだ合併前の波田町で不用な食器を美濃焼の産地で引き取ってくれるらしいという話を聞いて動きました。
食器棚の食器はどんどん増えていくけどなかなか捨てづらい、ゴミとしての陶器や磁器の処理方法は処分場に埋めてしまうだけ。それでは”もったいない”との思いから、美濃焼の産地との交流ができないか、行政に相談に行きスタート。

全国で食器のごみの量は年間15万t。ほとんどが処分場に捨てられています。
ごみの量全体の5%にしかすぎませんが、最終処分場はどこの自治体でもいっぱいで、延命策を考えていかなければいけません。

美濃焼の産地では長年土を掘り起こしてきたため、掘った場所に水がたまる、陥没するなどの環境問題が発生。また中国からの安い食器の輸入品の影響から地場産業が衰退、新しい発想が必要となり、古くなった食器を再生産する技術を確立してきました。
今では古くなった食器から強化磁器なども生産、学校給食などにも使われています。

こうした消費者と生産者との思いが一つとなりネットワークが誕生。生産者側の窓口はグリーンライフ21・プロジェクトが担当。消費者側は波田町消費者の会が核になり、行政、企業、学校、飲食店などがネットワークを作り生産者側との連携が開始しました。

 食器の回収・波田町消費者の会
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    広報・まちの負担
       ↓
 美濃焼産地まで輸送・コストは産廃業者のCSR
       ↓
 グリーンライフ21・プロジェクト
       ↓
 リサイクルされた食器は学校などで使用。

回収は年1回、2日間にわたって行われ平均4tから5t回収され、6年間で40t近く資源化に成功。
回収した食器の中には柄が良かったり数が揃っているものもあり、そういったものは自由に持って帰ることができるコーナーを設置、地域の交流の場にもなっているそうです。

この動きは県内各地に広がりつつあり、白馬のほか、今年度から池田町が予算化、塩尻も秋に回収だけ実施するようです。

富士見町の最終処分場はは可燃ゴミの焼却灰を他に持っていっているので、いまは年間約260tの埋立量になります。このペースだと最終処分場は約35年間でいっぱいになります。
もし可燃ゴミの焼却灰が外部搬入できなくなった場合、約660tが加算され10年間しかもちません。

リデュース・リユース・リサイクルの3Rを進め、ゴミの減量に取り組まなければいけません。

長野県環境エネルギー戦略

土曜日, 4月 27th, 2013

今回のみどりネット信州の政策研究会は「長野県における環境エネルギー戦略の展望」
です。
長野県は3月に平成25年度から平成32年度までの8年間、地球温暖化対策を進めるための指針「長野県環境エネルギー戦略~第三次長野県地球温暖化防止県民計画~」を策定しました。
この計画の策定に中心的に関わった温暖化対策課企画幹の田中信一郎氏に講師としてきて頂きました。

日本は経済成と連動してエネルギーの消費量も増えてきました。しかしドイツなどのヨーロッパでは経済は成長しつつ、温室効果ガス排出量とエネルギー消費量は減少しています。
ちなみに長野県は経済は成長していませんが連動しています(笑

そんな経済・社会構造(デカップリング)をめざし、「持続可能で低炭素な環境エネルギー地域社会をつくる」を基本目標に第3次長野県環境基本計画が策定されました。

これまでは環境というとライフスタイルと考えられがちでしたが、この計画は経済の視点でも考えれていて、このことは長野県の総合5カ年計画にも方針1「貢献と自立の経済構造への転換」の中の③地勢と知恵を基盤とした環境・エネルギー自立地域の創造として盛り込まれています。

具体的な姿は住宅を高断熱化するとか、次世代自動車が蓄電池の役割をして電力のピークカット。太陽熱、地中熱、薪、ペレットなどを活用した暖房など、がまんする省エネではなく、イノベーションを取り入れた経済の発展しながらの温暖化防止、省エネの形です。

具体的な目標は2025年に`90年度比で10%の削減。
現在`90年度より8%上昇しているのでちょっと大変な目標です。その先2030年には30%の削減を目指します。

政策は
・家庭省エネ政策パッケージ
・事業活動省エネ政策パッケージ
・建築物省エネ政策パッケージ
・電力需要抑制対策
・自然エネルギー政策パッケージ

これからの省エネ、温暖化防止の推進、自然エネルギーを考える場合、いかに地域で生み出し他からお金が入る仕組みを作るかを考えなければいけません。

たとえば
2000万円の家を建てて年間30万円の光熱費を払う
2200万円の家を建てて年間10万円の光熱費を払う

どちらも10年間で200万円かかるわけですが、この200万円はアラブの石油王へいくのか地元工務店へ行くのかの違いがある。

そして熱供給に関しては、バイオマス、コジェネなどで地域で活用。
この場合、同じお金を払うならアラブの石油王に払うのか、地元の森林組合に払うのかの違いがあります。

そのためには林道の整備もしなくてはいけません。

実はこれまで林道に多額の国家予算が投入されてきましたが、林業に使える林道はほとんどないそうです。だから一本の木を切って運び出すのに相当なお金がかかるし、労働者の安全性も悪い。だから生物多様性も考慮しながら地域経済に貢献するような路網の整備をこれから進める必要があるといいます。

ヨーロッパではこの路網を100年かけて作ってきました。
環境破壊ということではなく、森林整備にも使えるし人々のレクリエーションにも活用されています。
いったい日本の林道整備の予算はどこにいったのでしょうか。

世界のエコタウンのモデルになっているストックホルムのハンマルビー・ショースタッド地区のコンセプトは

 ・住みやすさ
 ・イノベーション
 ・移動のしやすさ
 ・景観
 ・環境

4番目に環境がきます。
日本の場合、まずLTEを導入するとか、太陽光パネルを並べるなど◯◯ありきで進められますが、ハンマルビー・ショースタッド地区では地域を住みやすく快適にするために全体を見渡して、そこにあったものを導入し計画が進められているようです。

自然エネルギーの導入が急ピッチで進めれていますが、ピジョンのない政策は後世の負担になります。
これからのエネルギー政策を考える場合、地域経済、環境、景観、ゴミ問題、移動手段、人口構成比などを鑑み、そこに住む人々の暮らしやすさを考えながら進める必要があると思います。