助け合いリーダーの役割

先日、認定NPO法人市民協の田中尚輝さんをお招きして「介護保険改正と福祉」と題して講演会を開催しました。田中さんのお話のテーマは「助け合いリーダーの役割」です。
認定NPO市民協は、会員数1400団体の介護系NPOで、中間支援団体としては日本最大の規模。日本のNPOのパイオニア的な存在でもあります。田中さんは市民活動の立場から介護保険制度とNPO法の制定に尽力をつくしました。今回の介護保険制度の改正も厚労省は田中尚輝さんに相談しながら改正したという経緯があります。

介護保険ができた背景には、当時、家族での介護が大変になり虐待が急増したことがあるようです。月に一回か二回虐待してしまう家庭は5割と深刻な状況の中、介護保険制度が制定されました。
ドイツを参考に作られたのですが、オランダなんかは医療制度のなかで行っていて、どの方法をとるのかで財務省と厚労省との対立があったそうです。市民団体は厚労省側につき保険制度の推進の立場で活動しました。結果、財務省の傘下に入ることなく厚労省のもと介護保険制度が制定。11兆円規模の予算を自由に使うことができるようになりました。

当時の自民党政調会長の亀井静香氏は介護保険制度に大反対。せっかく家族という良い制度があるのだから家族のことは家族で見れば良いという考え。事務所に押しかけたりFAXしたり介護保険制度制定に向け働きかけをしたそうです。実は、介護を家族だけではなく地域で行うという制度は画期的なものだったんです。
そのような訳で、介護保険制度は市民が働きかけてつくった初めての法律で、だからこそ市民が推進するという立場でなければならないとのことです。

さて、その介護保険はみなさんが負担している保険料と税金が半々で成り立っていますが、高齢化が早く進みすぎて介護保険はパンク状態です。消費税1%上げると税収は1兆8000億円入ってくるのですが、財務状況は悪化の一途をたどり10%上げの28兆円でも足りないそうです。
一番の原因は介護保険の間口を広くしすぎたこと。要支援1,2に要介護5までで7段階。ドイツ、韓国など介護保険制度を導入している国ではだいたい介護度3以上を対象にしています。範囲を広くしてしまったことで財政規模も大きくなってしまったわけです。

現在進められている対策は介護保険のスリム化です。
要支援1,2が保険から外れました。田中さんは今後、要介護1,2も外れるだろうと言っています。そして保険から外れたことを有償・無償のボランティアによる地域の支え合いで対応しろというのが、今回の改正の内容です。

中学校単位に協議体をつくり、そこには多様なセクターが集まり高齢者にとって足りないサービスは何か、高齢者がいつまでも地域で元気に暮らせるためには何が必要かを話し、無いサービスは作り上げていかなければなりません。
富士見町の協議体は富士見町社協の仕切りで進められています。もちろん、ぼくもメンバーに加わっています。

田中さんが進める地域の支え合いは、5プラス1
 ⑴生活支援サービス
 ⑵食事サービス
 ⑶移動サービス
 ⑷「通いの場」コミュニティカフェ
 ⑸便利屋

プラス1というのは、今後、入院、転居の保証サービス、葬儀、墓、遺留品整理などの需要が発生するだろうとのことです。

国は、地域の支え合い体制をつくれと言いながら法整備は、まだまだ整っていない状況です。例えば「有償ボランティア」というものについて税制上曖昧ですし、移送についてもグレーゾーンが非常に大きいです。田中さんは「公共善」のために市民団体は活動を行い、行政はグレーゾーンを黙認することで実績を広げることが必要と、田中さん。
田中さんの市民活動の考えは、単なる慈善事業ではなく社会変革でなければならない。という思想が根底になります。ぼくの政治活動や市民活動の原点は、この田中さんの教えにあると言っても過言ではありません。

実は、何年も前から田中さんから富士見で「便利屋」をやれと言われてきました。今回、体調不良にもかかわらず「ようやく佐久が立ち上がったんだから行かない訳にはいかない」と無理して来てくださいました。
感謝、感謝です。

行政の財務状況は決して良いものではありません。
高齢者のこと、子育てのこと。環境のこと、様々な場面で市民の力が試されている時代になったと思います。
今こそ、「行政があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが地域のために何ができるか」を考えるべきだと思います。

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