県の条例を学ぼう

子どもの権利条約フォーラム2017in信州・実行委員会で、県の条例の学習会を開催しました。

長野県は、平成26年に子どもの権利条約を参酌した「長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例」が制定されました。
子どもの権利条約を参酌した条例の制定は、阿部知事の選挙時の公約によるものですが、県議会の反応は必ずしも積極的なものではありませんでした。権利を認めるとわがままになる、権利を乱用されたら困る、権利と義務はセットだ!など、権利についての誤った認識による意見が多数。結局、権利条例ではなく支援条例という形で、なんとか制定されました。
権利の保証=個人の尊重は、現代、民主主義の根底を成す基本原則ですから、”権利”を正しく理解していない議員が多いということは長野県民にとって大きな悲劇です。

講師にお招きした子どもの権利ネットワーク代表で早稲田大学教授の喜多明人先生は、「支援条例」であっても精神は「権利条例」であるとし、広く県民に周知していく必要性を説きました。喜多先生は、条例制定時の検討委員会「子どもの育ちを支えるしくみを考える委員会」の委員長でもあります。

その精神は、基本原則として条例の”前文”に書かれています。

子どもが、生まれた時から持っている育つ力を発揮して能動的かつ自立的に活動し、自らを大切に思う気持ちを持って自分らしく成長していくことができるよう、大人は、子どもの力を信じ、支えていく必要がある。

子どもは、本来力を持っているという子ども感は、子どもの権利条約の重要な考えです。
この子ども感は、子どもの自己肯定感を伸ばし本来持っている力を出すためには重要な考えになります。いまある子どもの問題の、多くの部分の解決に影響を及ぼす考えではないでしょうか。この子ども感を中心に現在の教育や学校のあり方も見つめ直す必要があると思います。

具体的な施策は、第11条の”子どもの社会参加を促進するための仕組みの整備の促進”。子ども会議や子ども議会など、子どもの意見を反映させたまちづくりの仕組みは、それぞれの自治体が導入し始めています。第12条の”子どもが安心して遊び又は生活することができる場の整備の促進”。いま、長野県では、「食事提供」「学習支援」「相談機能」などがある、子どもたちが安心して過ごせる居場所「信州子どもカフェ」の普及を目指しています。これは第12条に基づいた施策と言えます。

そして、あまり知られていないのですが、第10条”相談体制の充実”に基づき、平成27年に「長野県子ども支援センター」が開設されました。子どものことでしたら、子どもだけではなく大人も相談できる窓口です。
相談件数は、平成27年度が1286件、平成28年度が828件。減少しているのは、いたずらが減ったためと県はみているようです。相談内容のトップは「学校関係(教師の言動、部活、進路など)」がトップ。「子育て」「交友関係」「いじめ」「不登校」と続きます。

この相談窓口の他県に無い特徴は、第18条”人権侵害の救済”いじめ、体罰等の人権侵害を受けた、若しくは受けている子ども又は当該子どもに係る保護者は、長野県子ども支援委員会に対し、救済を申し出ることができるというもので、そのことで、弁護士や心理療法士、スクールカウンセラーなどの専門家が集まった子ども支援委員会も設置しています。
開設して2年半が経ちますが、今のところ権利救済を求めてきた事例はないようです。
問題が無いということは良いことですが、このシステムがあまり知られていないという問題もあります。

きょうの信濃毎日新聞に、阿部県政の検証記事に権利条約フォーラムのことも書かれていましたので添付しておきます。
記事の内容は、条例をつくって満足しただけでは意味がない、せっかくつくった条例を活用すべきとの内容です。子どもの権利条約フォーラムを通じて広く周知できたらと思っています。

子ども支援条例の設置のための「子どもの育ちを支えるしくみを考える委員会」の副委員長は、2007年に諏訪で子どもの権利条約フォーラムが開催された時の実行委員長と事務局長でした。また、子ども実行委員会に参加していた子どもたちが、子ども部会skipとして条例制定に直接係りました。前回のフォーラムが県の条例をつくりあげたといえます。

2017年のフォーラムでは、次のステップを考えています。
条例を周知し、それぞれの地域で活用していくことです。
そのためフォーラムに向けて、学習会や講演会、ワークショップなどを開催しています。
みなさんも、ぜひ、参加してください。

子どもの権利条約フォーラム2017in信州実行委員会 → HP


*9月2日信濃毎日新聞

2 Responses to “県の条例を学ぼう”

  1. 宮坂平馬 Says:

    自分も、権利と義務はセットだろうから、どういう義務があるのだろうかと思いました。そのあたりをまた解説していただけるとありがたいです。もし、子供の権利といったときは、義務のつかない概念であるなら、別の用語を使った方がわかりやすいのでは、などと思っています。

  2. さんきゅー Says:

    コメントありがとうございます。
    もちろん義務を伴う権利もあります。たとえば自動車免許。知識と技能を学ぶことで運転する権利を取得、安全運転をする義務を怠ると権利は停止、または剥奪されてしまいます。

    しかし、ここでいう子どもの権利というのは基本的人権です。憲法にも書かれている「すべて人間は生まれながらに自由かつ平等で、幸福を追求する権利」のことです。
    たとえば、納税の義務を怠った場合でも、生きる権利が奪われるわけではありません。思想、信仰の自由も奪われるわけではありません。

    こんな説明で、なんとなくわかってもらえますか?
    この問題は大事なことなので、いずれブログできちんと書きたいと思います。

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