「共謀罪」法案成立

「共謀罪」法案が成立しました。
参院法務委員会での採決を省略し、本会議で可決するという手法は、国民の心配を助長するだけで、多くの人が感じている「共謀罪」法案についての不安は払拭されることはありませんでした。このことは、国民軽視であり、国会軽視であり、参議院の存在意義すら否定するようなやり方です。
代議制民主主義とは、「有権者の意思を反映した政策決定の方法」であるはずですが、安倍政権のこれまでのやり方は、閣議決定、強行採決など、民意を汲み取る努力を怠っています。代議制民主主義の欠点が露骨に出ているのが、今の状況だと思います。

共謀とは何か、簡単に表すと
  ①頭で考える
  ②考えたことを誰かに相談する  陰謀罪・共謀罪
  ③準備をする          予備罪・準備罪
  ④実行行為の着手        未遂罪
  ⑤犯罪成立           既遂罪

日本の刑法は既遂罪を重く処罰することが原則ですが、重要な犯罪については予備、未遂など個別に対応していて、爆発物関係の犯罪は共謀の段階からの処罰が可能。現在、13の犯罪について共謀罪が適用されることになっています。テロ犯罪といわれているような重大犯罪はすでに未遂前の段階から処罰可能な法制度となっているといえます。

犯罪を行うことを話し合った後で、「やっぱりやめた。自分はやりたくない」と言っても共謀罪は成立してしまいます。共謀の未遂や中止はありません。助かる道は「密告」しかないわけです。今回の共謀罪は277の犯罪を対象としていますので、一般に人もまったく関係のないこととは言えません。暗い密告社会になることを危惧せずにはいられません。

政府は、テロ対策のため国連国際組織犯罪防止条約の批准するためとの説明をしていますが、この条約はマフィアを想定したものでテロ対策ではありませんし、国連特別報告者ケナタッチ氏の「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」という発言からもわかるように、条約は共謀罪立法を義務付けてはいません。

政府はもう一つ、東京オリンピックの開催のためと説明していますが、これまで東京オリンピック招致にあたって共謀罪について検討されたこともありませんし、共謀罪立法の文脈のなかでもオリンピックの名前はでてきません。オリンピックの開催のためというのは、後付けとしか思えません。

テロ対策でもなく、オリンピックのためでもないとしたら、いったい何のために急いで立法する必要があったのでしょうか。疑問を感じないわけにはいきません。

共謀罪では、テロとはおよそ関係のない277種類もの犯罪が対象となるわけで、新たな法律ができるというよりは、「刑法の新体系」が出来上がるといえます。
実は日本国政府時は、この国連国際組織犯罪防止条約の審議の過程で「共謀罪は我が国の刑事法体系になじまない」と修正案を提出しているのです。日本国政府も、共謀罪を新たな国内法化にすることは、日本の法制度の基本原則に反すると考えていたことになります。日本の法律は内心の自由を犯さないことが原則です。

安倍内閣は、この国をどのような国にしたいと考えているのでしょうか。
想像できることは、国の管理が行き届いた戦前のナショナリズムの国家です。
戦前のナショナリズムは、国内に限らず世界を巻き込んだ悲劇をつくりだしました。
ぼくたちは、そのことを回避するための努力は怠ってはいけないと思います。

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