オオカミ復活!

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先日、「オオカミがいる自然、その魅力」と題した講演に行ってきました。
講師のスティーブ・ブラウンさんは、オオカミが復活したイエローストーン国立公園のガイドを長く務めていた人です。
イエローストーンはアメリカのロッキー山脈の中にあり、1926年にオオカミは絶滅。20年前にオオカミの再導入を行い、現在100頭弱のオオカミが生息しています。
オオカミが戻ってきたことで、多様な生態系が戻り自然環境が豊かになったそうです。

まず、オオカミが絶滅したことで増え続けていたエルク(ヘラジカ)が激減しました。エルクが減ったことで草木が豊かになりました。木が増加したことでビーバーが増えてきました。ビーバーがつくるダムのおかげで、治水にも役立ち、池や沼ができ、魚や両生類など小動物が増えたそうです。

また、オオカミの復活でコヨーテが減り、キツネやアナグマなどの増加にもつながりました。
オオカミは頂点捕食者ですが、その頂点捕食者がいることで多くの命が救われたと言えるのかもしれません。
本来の自然のサイクルとはこういったことなのでしょう。

長野県のシカの数は10万〜30万とも言われており、八ヶ岳は県内で一番多く、その半分ぐらいが八ヶ岳にいると県は見ているようです。シカの農作物の被害は深刻で、そのことが原因で畑を辞めてしまう人もいるぐらい。
山では木の皮を食べてしまうことで、木は枯れてしまい防災上の問題もあります。また、アツモリソウやニッコウキッスゲなどを守るため、山の中はネットだらけです。
県全体で年に3万5000頭捕獲しても全体の数は、なかなか減らない状況のため、毎年4万頭の捕獲をしなければ全体数は減少していかないそうです。

オオカミを導入することで、良いことだらけのような気がしますが、やはり、気になるのは人間社会への被害です。

家畜への被害は、自然保護団体によるオオカミ補償基金で賄われているそうです。被害にあった場合、市場価格を補償しています。
そして人間の被害は、北米での110年間で26件あったそうですが、うち25件は人間がオオカミに手で餌をあげようとして被害にあったもので、野生動物との接し方を知らないことから起きた被害と言えます。
もう一件は、ジョキング途中にたまたまオオカミの群れと遭遇してしまった女性です。基本、オオカミは人間が嫌いなので、人間の前に出てくることはあまりなく、この女性の被害も走っていたことでシカと間違えてしまったのではないかとスティーブンさんは言います。

110年間にったた一件の被害だけ。
だからといって大丈夫とは、なかなか考えることはできません。このイエローストーンの成功例を参考にヨーロッパの各国などで導入の検討をし始めているようですが、進んでいないのが現状のようです。まだまだ検証しなければいけないことは多いような気がします。

これまで問題を排除することで文明社会を築き上げてきました。
しかし、今の社会は排除することでの弊害が多く露出してきたようにも思います。
人間中心ではなく自然環境を優先に考えることで、持続可能な社会に近づくにのではないか。イエローストーンの事例は、そんなことを僕たちに教えてくれているのだと思いました。

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