あたらしい憲法の話

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安部総理が2日、憲法改正について、在任中に成し遂げたいと意欲を見せました。
7日になって、まだまだ国民に理解と支持は広がっていないと急にトーンダウンをしましたが、国会でもこれだけ話題になっているのですから、当時の内閣が憲法制定について、どのように普及させていこうとしていたかを知ることも大切なように思います。

日本国憲法は、1946年11月3日に交付されましたが、同じ日に内閣は冊子「新憲法の解釈」を発行。
翌年の憲法が施行された5月3日には、憲法普及会(会長芦田均・のちに首相)による「新しい憲法 明るい生活」が2000万部家庭に配布されました。当時の人口は約7800万人で世帯数は1642万世帯。ほとんどの人が、この冊子に接したことになります。
そして8月2日には文部省が中学1年生の教材として「あたらしい憲法のはなし」を発行しました。
新憲法の普及に熱意を持って望んでいたことが伺えます。

昭和二十二年五月三日 それは私たち日本国民が永久に忘れてはならない新日本の誕生日である。私たちが久しい間待ち望んでいた新憲法が、この日を期して実施されるのである。
*「新しい憲法 明るい生活」抜粋

「新しい憲法 明るい生活」の冒頭は、このように始まります。
3冊の冊子に共通していることは、戦争への反省、二度と同じ過ちを犯さないという決意と民主主義による新たな国づくりへの熱い思いです。

あたらしい憲法の話_三原則
*「あたらしい憲法のはなし」の挿絵

現在、憲法の三大原則は「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」と言われていますが、当時は「主権在民」「民主主義」「国際平和」と言っていたようです。民主主義と基本的人権の尊重は違うもので、いつからこう呼ばれ始めたのかはわかりませんが、3冊の冊子を見ると民主主義を特別なものと考えているようです。

国民全体でものごとを決めていく民主主義と、国際平和主義はたいへんふかい関係にあると「あたらしい憲法のはなし」にも書かれています。一部の人の考えで無謀な戦争に突入したという痛切な反省からきているのではないでしょうか。

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*「あたらしい憲法のはなし」の挿絵

「あたらしい憲法のはなし」戦争放棄の章では、このように書かれています。

そこで今度の憲法では、日本の国が、けっして二度と戦争をしないように、二つのことをきめました。
その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戦争をするためのものは、いっさいもたないということです。
これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです。
これを戦争の放棄といいます。
「放棄」とは「すててしまう」ということです。
しかしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。
日本は正しいことを、ほかの国よりさきに行ったのです。
世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。

*「あたらしい憲法のはなし」抜粋

当時の政府は、これほど熱い思いと固い決意で戦争の放棄を考えていました。
今の自民党の考えとはだいぶ違うようです。

私たちは民主主義を口にする前に、まずすべてのものごとをよく知り、正しい判断を持つように心がけなければならない。特にわが国では今まで政治は一部の人々が思うままに動かしてきたため、一般国民は政治について教えられることが少なく、自分の意見をのべることも窮屈であった。
また自分の考えをまとめるだけの勉強も足りなかった。
だから私たちは新憲法の実施をよい機会として政治のことを熱心に学ぶ必要がある。
なぜならばこれからは政治の責任はすべて私たちみんながおうことになったからである。
*「新しい憲法 明るい生活」より抜粋

今、日本は本当に改憲しなければいけないほどの危機にあるのでしょうか。
憲法のことを考える場合、多くの国民が「戦争の放棄」「平和主義」の理念を受け入れた背景なども含め、様々な角度で検証していく必要があると思います。
なぜならばこれからは政治の責任はすべて私たちみんながおうことになったからである。

*この「あたらしい憲法のはなし」は、現在青空文庫でも読むことができます。

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