総合支援事業は地域づくり

千曲市で行われた市民協主催の研修会「改正介護保険と今後の地域の展望」に参加してきました。記念講演として行われた厚労省で今回の改正に関わった方の話が面白かったので紹介します。

介護保険制度は平成27年度に改正し、要支援1,2の軽度者が介護保険給付から地域支援事業(総合事業)に移されました。
この改正は3年間の移行期間があり、実施状況は地域によってかなり差があるようです。総合支援事業を平成27年度中に移行したところは17,9%。28年度中に始めるところを入れても60%にも満たない状況です。
長野県では27年度中に移行する地域は2カ所だけ。御代田町と駒ケ根市だけだそうです。

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進まない理由の一つは、大事なポイントである地域包括ケアシステムのことを理解していな行政職員が多いとのこと。

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地域に住み続けるには、介護・医療・生活支援が大事だが、介護保険外である生活支援・介護予防の担い手となっている老人クラブは会員数が減少し、自治会は役員のなり手がいない。ボランティア・NPOも育っていないという現状。
団塊の世代が後期高齢者になる2025年には生活支援・介護予防を充実させておく必要があり、今回の改正の目的は上図の赤枠の部分の生活支援・介護予防を育てるための改正とのことです。

2000年度に始まった介護保険制度は、3000円弱だった保険料は今では平均5,500円になり、このままいくと2025年には8000円を超えることが試算されています。
現在介護保険を使う後期高齢者の伸び3~4%に対し、予防給付に使われる伸びが5~6%であるため、せめて後期高齢者の伸び程度に抑えるため、介護予防と住民サービスを広げることが厚労省の考えですが、全国の反応は「これだと予防給付の訪問介護は7掛けですね。。。8掛けですね。。」といった現状の枠内で金額を下げるといった解釈しかできない困った反応に頭を悩ませていたようでした。金額を下げろということではなく適切な給付をし、専門性のいらない生活支援などは住民サービスを充実させることで対応させよう話だからです。

必要以上の給付は、自立支援の妨げになります。
必要以上の介助は身体機能を低下させ、自立する意欲も低下させることになってしまします。

そのため、要支援のADLは健全であることから、一定期間の介入により、元の生活に戻すことが必要。そして元気な高齢者にはサービスの担い手になってもらうなど、地域社会での活躍の機会を増やすことで介護予防につながります。

今までは全国一律の基準でしたが、地域で担っていく総合事業に移りました。
これは、既存の介護事業所に安くやってもらおうということではなく、総合事業の目的は介護保険枠外の活動をもっと応援するため、地域活動の裾野を広げたいのが目的。
介護予防の効果を出すこと。地域の活動を大きくすることが目的です。

既存の事業所は、仕事を奪われるという発想ではなく、将来37,7万人足りなくなると言われている中重度のサービスの充実を考えていくべきだと言います。

多くの人が誤解をしているようですが、総合事業は地域づくりであって、サービスづくりではないと断言。
地域をつくるというのはNPOを応援すること。様々なサービス体制を充実させる視点、地域の支え合いの体制づくりが必要だと言いました。

ぼくらNPOは、これまで市民と行政との協働のまちづくりを目指してきましたが、行政側はどこか安い下請けぐらいにしか考えていない節がありました。それが中央の役人が、今回の介護保険の改正は、市民とNPOの活動を応援することだと言ったわけですから、単なる制度改正ではなく、大きな社会変革だと思います。

日本は世界に先駆けて超高齢化社会(高齢化率21%以上)に突入しました。
社会保障費は増加し、労働人口が減るなか、行政でできることは限れれてきます。
今こそ、市民と行政とでつくる新しい公共の形を模索していかなければいけません。

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