新教育委員会制度のこと

3月臨時会で新教育長に脇坂隆夫氏の選任することを全会一致で同意しました。
臨時議会前に脇坂氏からの所信表明、質疑の時間がありましたので、子ども達のメンタルへの対応についてどのように考えているかと質問したところ、子どもたちの育ちを、地域で支えていくことを考えていくとの回答。
とても重要なことなので、ぜひ取り組んでいっていただきたいと思います。

新教育長の就任は4月1日からということで、富士見町の教育委員会制度も新制度に移行します。ということで、いろいろ問題視されている新教育委員会制度について触れておきたいと思います。

教育委員会は合議制の執行機関です。
議会のような「議事機関」でも、意見を参考にするための「諮問機関」でもなく、「自分の判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う(自治法138の2・執行機関の義務)」機関で、最終的な決定権限を持っています。
狭義の意味では教育長含めた5人の委員のことで、広義の意味では事務局(富士見町の場合は子ども課・生涯学習課)も含めた組織のことを指します。戦後、アメリカの教育委員会制度にならって創設されました。

 理念は①一般行政からの独立
    ②政治的中立
    ③安定性・継続性

1948年の創設時は、教育委員も選挙で選ばれ、教育行政上の権限として①執行権②任免権③指揮監督権の3つの権限がありました。
住民の代表である教育委員会が、最終的に事務を執行する権限(①執行権)をもち、日常的に事務を執行する教育長を任命して(②任命権)、住民の目線で教育長の活動を指揮し監督していく(③指揮監督権・住民の意向の反映)というもので、一部財政権も有していました。
比較的独立性の強い組織だったと言えます。  
                          〜教育改革5つのポイントより

ここで「教育委員会委員長」と「教育長」の違いを説明しておきます。

教育委員会委員長は、委員の中から任命、任期は1年、会議を主催し教育委員会の代表。身分は非常勤です。

教育長は、「教育委員会の指揮監督の下に、教育委員会の権限に属するすべての事務をつかさどる(地方教育行政の組織及び運営に関する法律17-1)」とあり、教育委員会事務局の長であり常勤の職員。

教育委員会で一番偉いのは教育委員会委員長、教育長は教育委員会の指揮監視のもとで教育事務を執行していくということで、住民代表である教育委員の「素人による統制」と、教育行政の専門家としての教育長の「専門的リーダーシップ」のバランスによって運営されていることが基本原理です。
創設時の仕組みをみると、教育長と教育委員長の2人の長がいることが納得できます。

しかし、一部の地域で選挙運動の過熱、予算をめぐって教育委員会と首長が対立などで、革新勢力を危惧する政府・与党や全国知事会などで、教育委員会制度の廃止を求める意見が多くなり、1956年、教育委員会法が廃止され「地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地教行法)」が制定されました。

この法律では公選制が廃止され、事務の執行に関しては財源権限を廃止、首長に一本化。教育長の任命は県の承認が必要となり単独で任命することができなくなりました(地方分権一括法で承認制は廃止)。
また、教育長が教育委員を兼任することになり、教育委員会を補佐する部下であった教育長の地位が高まり、教育委員会が教育長を監視するといった指揮監督権は不明瞭になりました。

地教行法によって、教育委員会は首長と対立することもなく、教育委員会が教育長や事務局の主導で運営されるようになったため、今度は「教育委員会の形骸化」が問題視されるようになり、何回かの改正を経て今回の大きな改正が新教育制度です。

今回の改正のポイントは、教育委員長と教育長を一本化して、教育長の任命を首長が行うこと。
より実態に即した解せと言えますが、3つの権限のうち②任命権は無くなり、教育長が教育委員会を代表するため③の指揮監督権も無くなりました。

そして、もう一つ大きな改正は「総合教育会議」の設置です。
総合教育会議は首長が主催する会議であり、構成員は首長と教育委員会。
①大綱②重点施策③緊急措置について話し合います。
教育委員会の3つの権限のなかの①執行権も衰退してしまったといえると思います。

教育長の任命権が首長になり、総合教育会議が首長の主催となったことで首長の意向が大きく反映される形になりました。これまでの理念である一般行政からの独立、政治的中立、安定性・継続性とは逆方向の改正と言えます。
たしかに首長は選挙で選ばれてはいますが、教育に特化したことで選ばれているわけではなく、子どもたちの育ちに関しては政治的パフォーマンスではなく、安定的で継続的な施策が必要です。

改正法案を審議した参議委員文教科学委員では付帯決議として
「首長が総合教育会議を運営するにあたっては、学校運営協議会や学校支援地域本部等の関係者の参加を積極的に求めること」
とされたことは、権限が集中することを危惧したためと思われ、現場や地域の声をなるべく取り上げ、なおかつ会議は公開で行うべきでしょう。

この総合教育会議の運営方法は、かなり自治体の委ねられていますので、今後、しっかり見守っていく必要があります。

ぼくは、今回の教育委員会制度の改正は、巷で言われているように改悪だと思っています。しかし、仕組みは変わりましたが運用次第で良いものにしていくことはできると思っています。というか良いものにしなければいけない。

町民は教育行政に関心をもち、教育委員会はこれまで以上に住民の意見を吸い上げることに勤め、そして議会は首長、教育長の暴走を防ぐべく、チェック機能を働かせることが重要になると思います。

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