介護保険改正後の地域のあり方

NPO辰野自立支援の会あかりとぼくたちNPO信州協働会議認定NPO法人市民協の専務理事田中尚輝さんを招いて「介護保険改正と地域」と題した講演会を辰野で開催しました。

田中さんが、介護のことに関わりはじめたのは1980年代からで、そのころ介護疲れによる心労や虐待など、介護のことが社会問題になりはじめた頃。行政もなかなか動かないので勝手に助けようということで、有償ボランティアを立ち上げたそうです。
1時間500円で、そのうち300円は運営費に充てていましたが、本来ボランティアは無償のはずなのにお金をとるなんてけしからんという批判が相当あったようです。

しかし需要は多く、無償だと頼みづらいなどの理由もあり、その活動は広がり阪神淡路大震災のころには1000団体ぐらいになったとのこと。こういった活動を背景に1997年に介護保険法が制定、2000年4月からスタートしました。

この制度はとても良いものでしたが、当時のお役人たちは制度設計をミスしたとのことです。
現在の介護保険制度は要支援1から要介護5まで7段階ありますが、ドイツだと3,5ぐらい、韓国だと2~3ぐらいからの制度だそうです。

当時は法案を通さなければいけないということもあり、かなり広範囲を面倒見ることになってしまいました。
その結果どうなったかというと、お金が回らなくなったということです。

具体的に何が変わるかというと、介護保険の予防給付を廃止し、その分地域支援事業にまわします。
要するに要支援1,2を外し、その分市町村で見なさいよ。ということで、これからは住民相互の助け合いでなんとかしなさい。という制度改正です。

この地域支援事業、全国に3500億円の予算がつくそうで、単純に自治体数で割ると1つの自治体で2億円ぐらいになります。もちろん人口などによっては違いますが、かなりのお金が自治体に入り、そのお金は2種類の使い道が決められています。

一つはサービスに対する対価で、たとえば洗濯はできるけど、干したり取り込んだりできないといった家事援助。これはいままで介護保険でできたのですが、そこにはまわさないで、住民相互の助け合いに使われます。
時間単価は名古屋市が1500~2000円、武蔵野市が2200円で担い手を探しはじめたということです。介護事業ですと3000円なので介護事業を行っているところはマイナスになるので参加しづらい。もちろん営利企業はもうからないので参入しない。
しかし市民団体やNPO、ボランティア団体ですと、ちょっとおいしい金額です。
これからは、市民団体でネットワークをつくって地域づくりをしていく必要がありますね。

ではもう一つはといいますと、そういった市民団体、NPOを取りまとめるコーディネータに使われます。だいたい中学校区に一人の計算で全国に1万人のコーディネータを想定しており、財務省と厚労省との試算では1地区に800万円、内訳は人件費に500万円、事務所や経費に300万円だそうです。

君んとこと議員歳費よりよっぽど良いのだから、早いとこ議員やめてコーディネータになりなさい。と言われてしまいました(笑

今月終わり7月28日に厚労省で行われる全国課長会議で、この法案をどう運用するかのガイドラインが提示されます。それが市町村に降りてくるのが、お盆も挟むのでたぶん8月末、事業者に説明されるのは9月終わりのなるだろうとの話でした。

この改正は改悪だとの意見が多くあります。
もちろんサービスの低下は否めませんが、お金が回らないのも事実です。
田中さんは、市民で地域をつくっていくチャンスにしろと言います。

これからは行政に頼るだけではなく、自分たちで地域をどうつくっていくかが問われてくると思います。

One Response to “介護保険改正後の地域のあり方”

  1. いたちのいっちゃん Says:

    いつも、町政に関する報告をこまめにアップしてくださり助かります。
    興味深い情報をありがとうございました!

    介護や福祉は、行政に頼りきりだと、制度が変わるたびに振り回されてしまいますよね。
    田中さんのお話の内容は、大切なことだと思いました。

    悠々長屋も素晴らしいですね!
    このようなものが、富士見町にも、歩いて行ける距離に1個ずつあったら、いいなあ~♪
    元気な高齢者が、介護の必要な高齢者のボランティアをするなど、素晴らしいアイディアが沢山ですね!
    自分たちが欲しいサービスを、実現させて、運営するという点もいいですね!

    介護サービス報酬の引き下げなどで、特に、特養は今後経営が困難になっていきそうですし…。
    介護職員は慢性的に不足していて、現場は一杯一杯で、心のゆとりのない所が多いと感じます。
    これから、大きな施設をまた作っても、ハードな仕事で薄給の現状では、職員が集まらないと思います。

    周りの高齢者の方は、自分の老後に不安を話される方が多いです。
    「子供がいないし、お金はないし…家でのたれ死にしてもいいんだ」とか…
    「子供は、遠くに住んでいて、いずれその近くの施設に来るように言われている」とか…
    本当は、住み慣れた土地で、最後まで安心して暮らしたいですよね…とひしひし感じます。

    富士見町にも、最後まで安心して幸せに暮らせるしくみができるといいですね!

Leave a Reply