長野県農薬空中散布検討会の問題点

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今月のみどりネット信州政策研究会は「ミツバチ大量死は警告する」の著者であるフリージャーナリストの岡田幹治さんを呼んで松枯れ予防のための農薬空中散布について考えました。

長野県は2年前、この問題に対して検討委員会をつくり「松くい虫防除のための農薬の空中散布の今後のあり方」を作成。この報告書の問題点を中心に空散のこと、農薬のことを話していただきました。

まずは検討部会の構成メンバーの問題を指摘しました。
9人のメンバーのうち7人が県の職員。外部有識者は呼吸器系(ぜんそく)が専門の小児科医。いま農薬で問題になっているのはぜんそくではなく脳神経の問題であり、この選定には疑問があり、もう一人の有識者は林野庁関係団体職員。
構成メンバーをみると最初から「空散は必要」との答えは決まっているように思えますね。

そして「あり方検討会」の現状説明には、

「空中散布は、県民の暮らしに重要な松林を守るため、他に代替えできない有効な方法」

とありますが、松枯れの原因は大気汚染、群落遷移など様々な要因が考えられ、松くい虫(マツノザイセンチュウ)だけに限定した考え方はおかしい。

出雲市では、健康被害を訴える住民が出たため空散を一時中止。その後松枯れ被害が拡大したため、要望により2011年に空散の再検討委員会を、もう一度立ち上げたが、

「空散だけでは、マツノザイセンチュウ病が無くなった事例はひとつも無い」

との意見から、再検討会議でも空散は再開せず、松枯れになった松林の現状を調べ、松林ごと、それぞれ対応していくことになったそうです。

実は空散を始めて30年も経ちますが、効果については実証されていません。
このことについては、また今度書きます。

そして健康被害についての認識ですが、

「一般の住民に対しては、一定の安全が確保されているが、化学物質過敏症等の感受性の高い人等への影響の有無や可能性等については、解明されていない」

出雲市の事例では登校中の中学生たちを含む1200名が、目がかゆくなったり気分が悪くなったり、健康被害を訴えたことにより空散を中止しました。一部の過敏な人だけの問題ではありません。
また、安全性はマウスなどを使って実験をしていますが、精神に関わる問題は動物実験では測定できないものだそうです。

他にもいろいろ「あり方検討会」の報告書に対する問題を指摘されましたが、現在長野県はこの報告書をもとに空散が実施されてる現状です。

出雲市は平成20年に

「薬剤空中散布については、その絶対の安全性が確立されるまでは実施せず、薬剤樹幹注入と伐倒駆除により松くい虫による被害の進行をできるだけ食い止め、あわせて抵抗性マツ苗の植栽及び広葉樹への樹種転換を図ることにより、対策を行うものとする」

との基本方針を打ち出しました。

自治体の役割は住民の福祉の向上。
農薬と健康被害の因果関係がはっきりしないから実施するではなく、予防原則をもとに判断すべきだと思います。

今回の勉強会には多くの県会議員が参加してくれました。
さて、長野県は変わるのでしょうか?

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