子どもの暮らしと学びを支える韓国京畿道の挑戦

19、20日の2日間、「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウムin松本に参加してきました。

このシンポジウムは自治体関係者と研究者・専門家などが講演、研修などを通して、子ども施策のあり方やまちづくりの展望などについて意見交換をする場です。平成14年度から各地で開催され、今年は子どもの権利条例を制定し「子どもにやさしいまちづくり」を推進している長野県松本市での開催でした。

第1日目の特別講演は「子どもの暮らしと学びを支える韓国京畿道の挑戦」と題して韓国京畿道の教育長キム・サンゴン氏のお話です。

韓国では教育長を直接選挙で決めていて、キム氏は2009年韓国で一番大きな自治体京畿道の教育長に選ばれ京畿道児童・生徒人権条例を制定しました。

韓国では教育の関心の高さから過度の受験教育で、世界で一番長い時間勉強し世界で一番少ない時間しか眠れない非教育的な人権侵害が生じ、親の所得水準の差による教育の格差をもたらし、自己中心的で排他的な競争を強調してきたことから校内暴力、いじめが社会問題となってきました。

そこで教育の現状を改善するための「革新教育」を実施

 1、教育は「競争」ではなく、「協同・協力」
 2、教育は「成績」ではなく、「成長」
 3、「指示と統制」ではなく、「自立と自治」の尊重
 4、教育費負担を「私費負担」から「国家負担」へ
 5、教育結果を「個人責任」ではなく、「共同責任」へ

の原則のもと公教育のパラダイムを変化させようとしています。

子どもが学校で人間としての尊厳を維持し、人権が保障されるために制定した「京畿道児童・生徒人権条例」も革新政策の一つです。
学校で子どもたちが感じている不平等と心理的な差別は未来を暗くし、経済的に困難な子どもであっても学校で差別を受けずに、均等な教育機会が提供されなければいけないとして無償給食も取り入れました。これは教育の公共性を拡大し、普遍的な教育福祉を目指したものです。

子どもの権利に関しては日本でも

「子どもに権利なんか与えたら、わがままになる!」

などという権利とは何かわかっていないトンチンカンな保守系議員の反対の声がありますが、儒教の国韓国は日本以上に反発があった事は想像できます。

京畿道児童・生徒人権条例はかなりの激論が展開されたようで、主な反対意見は

 1、条例は贅沢で時期尚早。
 2、条例は未成熟な子どもにわがままな行動・暴力を助長する反教育的なもの。
 3、条例は「教権」を堕落させ、教師の生活指導を難しくする。

これに対し、人権は人間の基本的な権利であり、教育の本質を追求するものであることを冷静に説得し、京畿道児童・生徒人権条例は2011年3月に施行されました。

「教育」と「受験」が同意語となってしまった状況のなかで、革新学校や児童・生徒の人権保障のような馴染みのない概念を国民的な議題として話し合われたことは大きな影響があったようです。

長野県も「子どもの育ちを支えるしくみに関する条例」が2月の県議会で上程されようとしています。
ぜひ、全会一致で採決してもらいたいものです。

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