イギリスのチャイルドライン27年のあゆみ

チャイルドライン全国フォーラムin東京に参加してきました。
日本のチャイルドラインは、イギリスのチャイルドラインをお手本に始まり、15年が経ちます。1日目の全体会はイギリスチャイルドラインの担当ディレクターでNPSCC(イギリス児童虐待防止協会)のピーター・リバーさんのお話を聞きました。

NPSCCというのは日本でいう児童相談所のようなもの。イギリスのチャイルドラインはNPSCCが運営しています。

まずはイギリスの子どもたちがおかれている状況について。
2011年、NPSCCとチャイルドラインで児童虐待に関する全国調査を実施。1980年と2010年を比べた場合、大人の暴力で亡くなった14歳までの子どもが100万人に9.6人だったのが3.6人になったそうです。これは80年に比べ63%に減ったことになります。

命を落とさないまでの暴力の数字、繰り返し暴力をふるわれる数字は6,6%から4,3%に減ったが、チャイルドラインでは小さな子どもに暴力をふるった時のリスクの啓蒙に力を入れてきた成果ではあるが児童福祉、児童虐待の状況はまだまだ憂慮すべき状況のようです。

現在でも親に虐待を受けている子どもは52万人と推定され、親以外からの虐待は29万人いると推定され、発覚するのはごく一部で一人の虐待に対し、見えないところで8人はいると考えるそうです。
親以外からの虐待というのは、養護施設、里親での虐待も含まれます。こういった場合、まだ家にいた方が良かった。と子どもたちは思うようです。当然ですね。

虐待を受けやすい環境は。

・夫婦間での家庭内暴力がある家
・マイノリティ(民族・宗教)
・親が精神病、薬物、アルコール依存症
・発達障害、聾唖者、障がい者の子どもが虐待・育児放棄の対象に。
・貧困

性的虐待をして捕まった人は1年間で2万9000人。子どもが性的虐待を受け、相談するまではだいたい7年間かかるといわれています。7年間も性的虐待を受けながらじっと耐えている子どものことを想像するといたたまれなくなります。

虐待の問題はもちろん早期発見が大事ですが、それよりも始めからおこらないように予防することが必要で、多くの大人たちは虐待は防げないと思っている。これまでの児童虐待フルストップキャンペーンを実施により、虐待の存在が認知され、今は防止が可能だということもアピールしているそうです。

チャイルドラインUKは現在、約1350人のボランティアが全国12の拠点で活動。子どもたちの声に耳を傾け共感することを原則に24時間サービスを提供しています。
2012年度は約150万件の相談があり、そのなかの27万1000件がより突っ込んだカウンセリングセッションにまわっている。
近年相談内容に変化が見られ、

  1位 気分の落ち込み、自己肯定感の低さ
  2位 家庭環境
  3位 いじめ

暴力・性的虐待は減少、急増しているのは自傷行為に関する相談が2万2500件にものぼるそうです。

子どもたちの要望を受け、2009年からオンラインがスタートしました。

  電話     41%
  チャット   40%
  e-mail   19%

2013年にはオンラインでの相談が電話を上回り、所用時間の長期化が課題となっています。電話の10倍もの時間を必要とし、ボランティアの数を増やさなければいけなくなったそうです。

オンラインの利用は女の子の方が圧倒的に多く、ネットでのいじめ、自傷行為など電話よりも深刻な内容が多い。言葉にできずにチャットを使う場合が多いようです。

さて、このオンライン、
電話だと感じる声の質や早さ、息づかいなどがわからない。はたして子どもたちの感情を感じることができるのか?
文字だけではこちらの言いたいことが誤解されることがあるのでは?
そんな疑問を2日目の分科会でピーターさんに直接聞いてみました。

「オンラインについてはまだまだ学習途上。電話対応は27年の経験があるが、オンラインは2年の経験しかなく課題は多い。しかし経験を積むことで、微妙な言い回しや言葉の選び方で感情をある程度読めるようになってくる。電話よりもチャットの方が重要な問題が多く、子どもたちがこの方法を望むのであれば、この方法に対応していくことが必要」

チャイルドラインはある意味”居場所”を提供しているわけですから、いまの子どもたちがネットに自分の居場所を求めるのなら、それに対応する方法も必要だと思います。課題は多いですが日本のチャイルドラインも検討する必要はありそうです。

相談の第1位の自己肯定感の低さというのは驚きです。そしてこのチャイルドラインのオンラインの活用は、確実に子どもたちのおかれた状況は変化していて、旧態依然の子育て支援ではなくその時の子どもたちの状況をいかにとらえるかが大事になってくると思いました。

長野県がつくろうとしている「子どもの育ちを支えるしくみに関する条例」では、地域で子どもを支える仕組みづくりの必要が謳われています。そこにはチャイルドラインのような市民団体が関わるべきだと思います。

NSPCCは子ども支援の専門家として、イギリス政府に対し政策提言をしています。日本もそれぞれの市民団体が政策提言をして、そんことが反映される社会をつくるべきだと思います。

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