いじめ防止対策推進法と地域・自治体

「地方自治と子ども施策」全国自治体シンポジウムin松本2日目の分科会午後の部は「いじめ防止と自治体」に参加、ここでは「いじめ対策推進法」の話が中心になりました。

いじめ対策推進法は今年6月に国会において可決、3ヶ月後の9月28日に施行されました。

今年4月に野党が参議院に「いじめ対策推進基本法案」を上程、5月に自公が衆議院に「いじめの防止等のための対策の推進に関する法律案」を上程、与野党が法案を一本化するための話し合いは国民の知られないところで行なわれ、国会ではわずか2日4時間の審議で決まりました。

この急な動きは大津のいじめ問題を背景に「いじめ防止」の法制化を各政党が公約にしたことによるもので、いじめ問題に取り組んできた自治体やNPO、市民団体に意見を聞くことも無く成立したため、各方面から戸惑いの声があります。

この法律は「いじめる側」と「いじめられる側」をはっきり分けて考え、いじめられる側は守らなければいけないため早期発見、通報義務。いじめる側は警察の介入もありの指導、厳罰処分との単純な考えからなっています。

この通報義務は相談員等も含まれるのですが、子どもたちがやっと思いで相談したことを学校に通報しなければいけないということになります。子どもたちは秘密を守ってもらえる担保があって初めて相談するのに、これでは相談するところも無くなってしまいます。
こんなことは子ども支援に携わっている人はすぐわかること、いかにリサーチをせずに拙速につくったかがわかります。

また、通報しなかった場合は裁判になった時、過失責任が問われる可能性もあります。
こうしていきましょう!と決めることと法律で決めることはこういった問題が生じてきます。
いじめの問題を虐待の問題のようにとらえても良いのでしょうか?

この法律の中では道徳の強化も謳われています。文科省の基本方針にも書かれていますが「いじめは絶対許されない」「いじめは卑怯な行為である」ということを子どもたちに教え込ませることです。
そんなことを教え込んで、いじめが無くなれば苦労はしないわけで、戦後一貫して道徳を強化してきたにも係らず、いじめの問題が無くならないことをきちんと考えるべきです。また「絶対に許されない」ということで水面下に潜ってしまう可能性もあります。

本来いじめの問題は、いじめられた子どもの権利侵害というところからスタートしないと、いじめられた側からの解決にはなりません。

いじめられた側のどのようにケアするかも書かれていないし、いじめた側の背景を探るようなことも無く、厳罰ということだけが書かれています。いじめの問題を他の犯罪と同じように処罰の対象のように考えることは、根本の解決にはならいのではないでしょうか。

いじめの構造は複雑で、いじめられる側、いじめる側の境がない場合も多く、入れ替わる可能性もあるなど単純ではありません。そもそも「いじめ」に特化することで根本的な問題解決から離れてしまうように思います。

今の世の中でいじめが無くなることは想定できません。いじめを無くすことよりも、いじめがおこったときに、子どもたちや学校や地域、自治体に解決する力をつけることの方が大事だと思います。

それには学校、保護者、地域、ふじみ子育てネットワークチャイルドラインCAPのようなNPO・市民団体が連携して地域にあった子どもの育ちを支える仕組みをつくっていくことが必要。もちろん子どもたちの意見を聞きながら進めることが大事です。

さて、この法律には地方自治体に、いじめ防止対策推進法を参酌しての地方いじめ基本方針、学校に学校いじめ基本方針の策定を義務づけています。
国からのものをなぞるようなものではなく、地域の人たちで話し合いながら良いものをつくっていかなければいけません。

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