旧南中学校跡地利用について

その校舎は木造の、とても美しい校舎なんだ。
なかに入ると柔らかい陽が木の壁にあたって、ここに居ると何かできそうな。そんな夢を見てしまうとこなんだ。

富士見南中学校は今年の3月で廃校になってしまった。
なかなか味のある校舎でね、映画の撮影なんかにもよく使われるんだ。
見たことないけど「いま会いにいきます」とか、この前は「八日目の蝉」ってやつも撮影していたよ。
町が跡地利用のアイディアを募集したけど、自分が主体としての提案が無かったため、検討委員会を立ち上げ、新たに提案を募集したのが夏の事。期限は10月の15日。
その頃はまだ、校舎を壊しちまおう。なんて意見もあったんだ。だから卒業生たちの署名運動を手伝ったり、広い校舎の一部だけ使いたい人や団体が集まってね。そんなふうに僕たちは集まったんだ。
フリースクールをやりたい人、太鼓や織物の保存会などなど。
さんきゅーさんはね、農業を中心とした情報発信の場にしたかったんだ。まず野菜を売る直売所。野菜って云うのは加工してしまうからね。なかなかおいしい野菜とまずい野菜があるってことが伝わっていないんだよね。食べ方の提案をしたり、おいしい野菜の選び方なんか知ってもらうための場だ。そして、その野菜を使ったレストランや加工所があって、農業体験もできるようなとこがあって。
なんか素敵だろ。

提案書を出したのは5団体。そのうち同じ思いをした2団体と僕らは連携。施設全体を使う条件がついため、1個人が降り、フィンランド式の英才教育をする小中一貫校と僕らの2団体の争いになった。プレゼン資料提出期限は11月30日。

僕たちはNPOを立ち上げる事にしたんだ。”NPO法人 八ヶ岳南の学校”
八ヶ岳南の学校は直売所、加工所、レストランや農村体験などの営利活動を行いながら、校舎の維持管理、イベントの企画などをやり、校舎全体はフリースクールや町の文化的、公共的団体や貸しオフィスなどが入った複合施設にする計画だ。
地域の人たちが何かやるなら、それもいいかも。と応援してくれる人も多く、これは行ける!と思ったのは11月30日まで…。

11月30に急遽、東京の企業がプレゼンを行う事が決定。この企業は以前から町や県が誘致していた企業だ。
おいおい、10月15日までに提案書を出した団体だけが権利があるんじゃないのか!
それから2日後、フィンランド式の英才教育が突然の辞退。プレゼン資料を提出しているにもかかわらずだ。
なんかイヤな力が感じられるよね。
そして12月5日プレゼン。

ぼくたちは役場が提示してきた実施要項にそってプレゼンを行った。事業収支とか。資金計画とか。最初の3年は赤字になってしまう。でも役場に補填してくれなんて言ってないよ。公共団体が使う家賃分は払ってねって言っただけ。
整地や植樹をはじめ多くの人が協力してできた学校だ。南中学校は単なる教育施設ではなく、さまざまな人の思いや記憶が詰まった場所。新たな地域づくりの拠点としてよみがえらせることの重要性を訴え、町や地域のみんなと一緒にやっていこうよって呼びかけたんだ。

相手企業はと云うと、正直、なんだかよくわからないプレゼン。天皇陛下が視察に来てくれたとか、海外でこんな事やってるとか、そんな感じ。実施要項どうりではなかったよ。まっ、企業のプレゼンってあんなもんかな。
そんなんだからプレゼンが終わっても質問が出ない。すると会長が生い立ちから起業までを延々と話し始め、なんと町長が相手企業の補足説明を始める始末。プレゼンをやる時には、すで決まってたって事かな。

やってられないよ!こんな茶番。

16日の検討委員会で相手企業に決まり、町長はそれを受諾。

こうしてぼくらは負けちまったってわけだ。
正直しばらく何もやる気になれなかったよ。でもいつまでもここで止まっているわけにはいかないのだ。

こんな結果になってしまったのは、自分たちで何か事を起こすより、外から来る、何か良さそうなものに頼ってしまう体質だ。なにかあると企業を誘致する事しか考えない。ダメだよね、それじゃ。
いま、世の中は田舎や農、食に注目している。大切なのは地域の文化や伝統を守って、いかに伝えていくかという事だ。
僕たちはこれからも、ひるむこと無く進んで行くよ。
近々にソーシャルビジネスの団体を立ち上げる予定。また、みなさん応援してね。

長野日報 関連記事

Leave a Reply